黒字倒産とは何か?そしてなぜ起こるのか?~会計初心者も必見!具体事例を挙げて説明します!~

黒字倒産とは

黒字で倒産?違和感がありますよね。
普通の倒産のイメージは、赤字が続いて倒産!という流れです。
しかし、実際には黒字でも倒産することがあります。

そもそも倒産とは?

会社などが、返済すべき借金などの債務を弁済することができないなどの理由から、経営が立ち行かなくなることをいいます。
具体的には、下記のような状態になること。

  • 債務整理が開始されたとき(会社更生法などの手続の申請による法的整理など)
  • 銀行取引停止処分を受けたとき(半年で2回の不渡りを起こした場合などに処分を受けます)

債務整理が開始されたとき

銀行などの債権者に対し、借入金などを返すことができない状態となった場合に、債務整理が行われます。
債務整理の手続には種類かありますが、債権者と話し合いで解決する私的整理と 会社更生法などに基づいて裁判所に申し立てる法的整理があります。

銀行取引停止処分を受けた場合

半年以内に2回、振り出した小切手や手形について、期日通りに決済できなかった場合には、銀行取引停止処分を受けてしまうこととなります。
その処分により、銀行からの新規の借り入れはできなくなり、当座預金口座が閉鎖されます(小切手の振出などもできなくなります。)。

いずれのパターンについても、支払うべきお金を支払うことができない状態になり、発生します。

「黒字倒産」とは、黒字なのに倒産してしまうこと

黒字でも、上記の「倒産」の状態になりうるのです。
つまり、利益がでていても、倒産してしまうということ。

なぜそのような状況になるのでしょうか?
それは、会計上の損益とキャッシュフローが異なるから。

例えば、商品を引き渡した時点で、会計上の売上は発生します。しかし、実際の入金は遅れてくることが通常です。
具体例は下記で説明します!

黒字倒産の具体例

機械の製作の受注~完成に至るまで

例えば、機械メーカーX社さん。
X社はA社から機械を製作する仕事を受注しました。
さっそく機械の製作に取り掛かります。
まずは材料の仕入れ、仕入れた材料で工員が組み立て作業をし…

その際には、材料費、賃金などの労務費、電気代などの経費が掛かります。
そして機械が完成!

機械の売上~入金まで

機械が完成したため、さっそくA社に機械を納品し、売上げました。
なお、この段階で、会計上の収益は発生します。
しかし、実際には売上代金が入金するまでにタイムラグがあります。

そのときの資金繰りの流れ

さて、受注から入金に至るまでの期間ですが…
この間、X社は出費が嵩む一方、入金はない状態が続いています。

そのため、1月末時点でX社は仕入れ先に払う資金がない状態。
そして、X社はやむを得ず手形を振り出すことにしました。

しかし、X社は、手形期日においても資金のない状態が続いていたため、支払いをすることができず…
X社は銀行取引停止処分を受け、倒産に至りました。

黒字倒産を回避・防止する3つの方法

資金繰りを改善すること

ここで「資金繰りを改善」とは、資金のやり繰りを上手に行う、ということ。
資金繰りがうまくできていないと、利益の出るような仕事であっても、資金ショートを起こしてしまいます。

資金繰り表を作成しよう

資金繰り表を作成していないのであれば、まずは資金繰り表を作成することろから始めましょう。
資金繰りの一番大事なことは、いつお金が入って来るか、いつお金が出てくるかの資金の流れを表にまとめて、管理することです。
何よりまずは、現状の資金繰りを理解することが、非常に大切です。
この前提がなければ、資金繰りの改善は絶対にできません。

そして、気が付いた時には倒産…という恐ろしい事態になりかねません。

しつこいですが… 倒産を防ぐには資金繰り表が必要不可欠!

回収は早く、支払は遅くするように努める

基本的には、資金の流れは、「回収が早く、支払いが遅い」という流れが〇
実務上、大企業などを相手にしていると、「支払いは3月後!」 というような、強気な支払い条件を提示してきたりします。

なぜそんなことをするかというと、資金繰りの観点から非常に合理的なため。
どういう風に合理的なのかは、図で見て行きましょう。

下記は回収が早く、支払いが遅いパターン。

下記はその逆のパターン。

これを見れば分かるかと思いますが、入金が先行していれば、「売上に対応する仕入代金を支払うことができない」という状況にはなりません。
このような状態になっていれば、黒字で倒産するということになりにくいのです。

実務上の留意点

現実には「うちも支払条件を3月後にするか。」などと思っても、なかなかできません。
さらに、「支払を単純に遅くする」ということ自体、必ずしも良いとは限りません。
取引先との関係もありますし、資金繰りをしっかりと管理できていない状態で行えば、単なる先延ばしとなり、効果もないためです。

「回収を早く」の実践

早期回収を図る方法として、取引先に早期の入金を求める以外にも、考慮すべき事項があります。
まず、商品の規模について見てみましょう。
販売する商品の内容などによっても、資金の回収の早さに差が出ます。


例えばコンビニでちょっと買い物をしたとき。
基本的には現金で支払います(最近は相当キャッシュレスも普及してきましたが…)。
つまり、売上代金が即入金するのです。

逆に、大型の工事の請負や機械の販売などの場合、入金がどうしても遅くなりがち。
(手付金や出来高払いなどもありますが、)金額も大きく、どうしても売上代金の入金までの期間が長くなってしまいがちです。

それと比較すると、小規模な工事・機械の販売などがあれば、比較的資金の早期回収を図ることができます。

そのため、資金繰りの見込みを立て、その上で小規模案件を受注するこという選択肢も視野に入れておくことも一つの方法です。
ただし、「資金繰りを良くする」という観点では良いのですが、収益性は低下するかもしれません。
目の前の資金不足に対処することに精いっぱいになってしまい赤字受注をしてしまう、ということは避けたいところ。
そのためにも、資金繰りの管理をしっかりと行いましょう。

キャッシュフローを改善すること

「資金繰りを改善」とよく似ていますが…
ここでは、キャッシュフローの内容を分析して、フリーキャッシュフローを生み出すことができるようにしていくことを指しています。

損益計算書上の利益ができように経営をすることは良いのですが、フリーキャッシュフローを生み出すことができるような体制も目指していかなければなりません。
キャッシュフローは営業活動・投資活動・財務活動によるものに区分され(キャッシュフロー計算書)、その内容を改善することが重要となります。

保守的な損益計算書を作成

黒字倒産が起こる要因の一つとして、「PL上利益が出ているという安心」という面も大。
会計上は、「予想される費用・損失は、早めに計上すること」が勧められています。
(これを保守主義の原則といいます。)

例えば、もう回収の見込みがない売掛金や貸付金。
もう回収できないにも関わらず、100万円計上されていれば、誤解を生みますよね?
また、実際に回収できないのであれば、既に100万円の損失が生じているということ。
そのように回収の見込みがない債権を残したまま、「黒字」を続けるから、危機感も生まれず、経営状態も悪化していくのです。

そのため、貸借対照表・損益計算書は保守的に作成し、しっかりと管理をしましょう。

粉飾決算は絶対NG

経営状態を良く見せるために粉飾決算をすることは絶対にNGです。
一度粉飾決算をしてしまうと、年々その「粉飾」をカバーすることができなくなってゆき、そこから倒産に通じてしまいます。
粉飾に手を出してしまうと、負のスパイラルが始まりますので要注意!

仲良くかつ複数の金融機関と付き合う

金融機関と付き合う際は、普通の銀行(メガバンクや地方銀行など)だけでなく、政府系の金融機関や信用金庫など、異なるタイプの金融機関と付き合っておくと良いでしょう。
借入金が必要ない時も一定額借りておけば、いざという時に融資を受けやすくなります。

資金がないときに金融機関から見放されたら倒産します。
そうならないためには、金融機関とは上手に付き合う必要があります。

まとめ

黒字倒産がどういうものなのか、イメージは付いたでしょうか?
実際には多くの企業が黒字であるにも関わらず倒産している現状があります。

「黒字倒産」となってしまうことは、非常にもったいないことです。
せっかく利益を出しているのに、そこでその会社も終わりとなってしまうのですから。

そのためには資金繰りはしっかりと管理をしないといけません。
利益を出すことも重要ですが、一度キャッシュフローを見直してみましょう!