課税所得とは何か ~法人税の計算の基となる利益を理解していますか~

2020年3月14日

課税所得とは何か

課税所得とは、法人税が課税される所得の金額をいいます。

基本的には、法人税は会社が儲かった部分、純利益に対して課されるようなイメージで合っています。
が、実際に法人税の計算のもととなる金額は、違います。

法人税は公平に課されるように法律が定められています。
そのため、会計上の利益の数字と異なってきます。
例えば、

  • 飲み会をバンバン開催しよう
  • 利益の出てない子会社にたくさん発注をしよう

などなど。
税金として持っていかれないようにいろいろなことを考えますよね?

確かに、上記のようなことをすれば、会計上の純利益は減ります。
しかし、それをすべて税法上の費用(損金といいます。)として認められるのであれば、みんな同じようなことを始めますよね?

それでは国は税金を確保することができません。
その他さまざまな理由から、会計上の利益と課税所得はイコールにはならないのです。

税引前当期純利益との違い

「税引き前当期純利益」とは、法人税等の額が引かれる前の当期純利益をいいます。

損益計算書に表示されているこの金額です。

その図を見ると、なんだかこの金額を基に法人税の額を計算しているように見えますよね。
しかし、「税引き前当期純利益」は、あくまでも会計上の数字。

課税所得とイコールにはなりません。

課税所得の重要性

法人税を節税することとは、課税所得をいかに小さくするか、ということ。
課税所得に対して法人税などが30%ほど課されます。

割合としては相当ですよね!
10万円儲けたと思ったら、そこから3万円くらい引かれるわけです。

節税対策をするためには、会計上の利益ではなく、この課税所得を把握・調整していく必要があります。

会計上は純損失が生じている状態でも、課税所得はプラスかもしれません。
資金繰り、会計上の損益など考えなければいけないことは、いろいろありますよね。
それに加えて、課税所得についても考えなければなりません!

そこそこに利益が確保できるため、法人税等を節税しよう!と考える場合、「会計上の費用とする」ことを考えるのではなく、「損金として認められる」かどうかが重要になります。

例えば、「持っている資産の時価が下がっているので、とりあえず、評価損として計上しよう。」
とか、「とりあえず、来期発生しそうな損失を引当金として計上しておこう」

などとしようとしても、「評価損」「引当金」などは、大体損金として認められないため、課税所得を減らすことができません。
(会計上の利益が減るのみ!)

経理の仕事をしていると、「費用として落とせるか」といった課題に直面することが多々。
その際、会計上の「費用として認められるか」という話なのか、税務上の「損金として認められるか」という話なのか、という点だけは、明確にしておきましょう。

中小企業の場合は、ほとんど「損金として認められるか」ということが重要なポイントです!
ポイントがどこにあるかよく分からずに話が進んでいると、混乱しますよ!

課税所得の計算方法

課税所得は、こんな風に計算されます!

下記は申告書(別表4)のイメージ。

会計上の利益を基に、損金として認められないものを加算するなどの調整をして求めます。

代表的な調整項目として以下を紹介します!

交際費等の損金不算入額

取引先との飲食代で、1人当たり5,000円を超えるものなどは、損金として認められません。
実務でもよく、1人当たり5,000円以下に収めるように!という指示を聞くかと思いますが、それはそのため。

他にも、ゴルフ代なども交際費等なので損金不算入。

引当金の繰入否認額

引当金は、翌期以降に発生する費用・損失など。
不確実な部分もあり、大体の引当金は、損金として認められません!

損金として認められるものは、「確実な」費用・損失です。

受取配当等の益金不算入額

配当金は、そもそも税金が取られた後の利益が株主に支払われるもの。
それに税金がかかってしまえば、国は二重に税金を徴収することになりますよね。

そのため、一定の方法で計算した金額が益金不算入となります。

課税所得の計算の難しさ(税務調査のリスク)

課税所得の計算・判断は、非常に難しいです。

例えば先ほど紹介した交際費等についても、該当するかどうかの判断が難しいだけでなく、会社の規模の違いによっても取り扱いが異なってきます。

そのため、自分で法人の申告書を作成することは非常に困難。

税務調査のリスク

定期的に行われる税務調査。
経理を担当されているのであれば、経験されているかも?
税務調査では、申告書が正しく作成されているかどうかを入念にチェックします!

先ほど自分で申告書を作成することは難しいという話をさせていただきました。
そのうえで、単純に間違えてしまった!という場合でも、当然、その間違いは指摘されます。

課税所得が少なく申告されていれば、後々に税金が課され、遅延した分などには延滞税が課され、さらに重大な過失と認められれば、罰金などが課されることも。

自分で努力をして作成したのに、さらに追徴課税されてしまうなんてばかばかしいですよね。

よっぽど時間に余裕があって、研究熱心な方ならいいですが、リスクも高いです。
法人税の申告書の作成は、税理士に頼んでしまったほうが良いです。

どこまで損金として認められるかといったことを研究するメリットは非常に大きいですが、 それについても、税理士と相談しながら判断をするのが良いでしょう。
(自己判断は危険を伴います!)

まとめ

課税所得の大体のイメージはつきましたでしょうか?
経営者の方・経理の仕事をしている方は、課税所得に対する基礎知識があると、実務において非常に役立ちます!
ここで紹介したことは、大枠をつかんでおくと良いです!

しつこいですが…

会計上の利益≠課税所得!