税法 理論暗記の効率的な方法を提案します!~疑問点にも答えます~

2020年3月25日

理論暗記とは

税理士試験の税法科目では、税法をコンパクトにまとめた理論教材があります。

理論教材には、大原の理論サブノート、TACの理論マスターがあります。

その「税法をそのまま暗記すること」を理論暗記といいます。
例えば、消費税法。

「国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。)には、消費税を課する。」

これをそのまま覚えるイメージです!
予備校でも理論教材をしっかりと暗記をするように指示があります。

理論暗記の重要性

中学、高校と、義務教育を受けている中で「暗記ではなく理解が重要!」という話をよく聞かされて育ってきましたが…
税法科目の合格を目指すためには、税法の丸暗記は必須となります
なぜなら…

本試験でも「丸暗記」が問われる!

これは過去問ですが…

「課税資産の譲渡等」及び「課税資産の譲渡等の対価の額」に関して、それぞれの意義や範囲などの消費税における取扱いについて述べなさい。

平成25年 消費税法・本試験

こういった問題がよく出題されます(いわゆる「べた書き」と呼ばれる問題。)。
いくら理解をしていても、こう聞かれてはなかなか答えられませんよね。

受験生は皆、理論暗記をしている!

1のようなパターンではなく、もっと理解を問うような問題が出題された場合でも、税法の理論暗記は不可欠
覚えた税法を織り交ぜながら、高度な解答※を作成しなければなりません。
なぜなら…

税理士試験は相対試験であり、「いかに他の受験生より、よい答案を作るか」ということを常に考えなければなりません。
そして、予備校でも「税法暗記は必須」として対策している現状、税法暗記なくして合格を目指すことは難しいのです

高度な解答

べた書きでない場合でも、税法を覚えていることを前提とした応用問題が出題されます。
この場合、合格レベルの受験者での競争は覚えた税法を、いかに出題者の意図通りに素早く、税法を根拠に解答することが勝負の別れ目となります。

受験生におすすめな暗記法

私が税理士試験合格に至るまで実践していた理論暗記の方法を紹介したいと思います。

理論暗記の最終目標

実際に具体的な暗記方法の解説に入る前に、最も大事なことをお伝えします。
それは、暗記のゴールは何かです。
目標を明確にせずにダラダラと暗記しても効率的ではありませんので、まずは目標を明確化することが理論暗記の第一歩です

暗記をすることは重要ですが、下準備も非常に重要。
ここを間違えてしまうと、試験では力を発揮できません。

まず税法暗記の目標ですが…
単に「税法を丸暗記する!」ということが目標ではありません!
目標は、試験問題などを目の前にし、即座に関係する税法を書くことができるレベルです。

全部覚えました!といっても時間をかけて思い出せるというレベルでは意味がありません。
その目標をしっかりと意識しながら覚えるようにしましょう!

暗記の計画を立てよう!

やみくもに暗記をしても、うまくいきません。
12月までにこのレベル、4月までにこのレベルと、具体的に計画をしましょう!

私はこのレベルを目標にしていました

12月には大体理解はしており、内容が伝わる程度に書ける、というレベル
4月には答練でもある程度戦えるようなレベル
6月のTACの公開模試までに本試験でも合格できるようなレベル

なお、その際にポイントがあります。

確保できる勉強時間を考慮し、覚えるべき項目を選定

税法をただ覚えているだけでは、試験では通用しません。
確保できる勉強時間を考慮し、すべての理論を1で紹介した「目標」までに到達することができないようでしたら、出題される可能性の低い理論は思い切って捨てるのも手です

理論問題は、ある程度、頻出論点にかたよって出題されます
また、試験問題でも解答に必要な論点は絞られていることが多いです。
そのため、Aランク~Cランクまで、すべての理論を中途半端に暗記するよりも、Aランクの理論だけを完璧にしたほうが、◎
(出題頻度の高い順にAランク、Bランク、Cランク)
中途半端な暗記では、他の受験生に勝てません。

直前期の前に、形を作るべし!

直前期には、レベルの高い答練がどんどん出てきます。
(本試験と同じようなレベル・形式の直前答練です。)
本試験に対応する力を養う上では、必ず解答しなければなりません。

また、理論は本試験に合わせて、自分の選定した理論をすべて「目標レベル」に持っていく調整が必要となります。
(膨大な理論を短期間にアウトプットしていく必要があります。)
そのため、新たな理論のインプットの時間などはありません

6月中旬までには、選定した理論の「暗記」は終わらせておく必要があります。
上記を踏まえて、まずは実現可能な暗記計画を立てましょう!

具体的な暗記方法

赤シートで隠す、紙に書くなど、いろいろと紹介されていますよね。
自分にとってやりやすい方法で暗記すれば良いと思いますが…
私は一貫して、ボイスレコーダーを使用した暗記をしていました。

書くことは相当時間がかかりますし、同じことを音声で行えば相当速いためです。

具体的には…

「紙に書く方法」は、覚えた理論を紙に書きだし、その記載されている内容が正しいかを答え合わせをする、という流れになりますが、
「ボイスレコーダー」は、覚えた理論を録音し、その録音されている内容が正しいかを答え合わせをする、という流れになります。

覚える作業のもっと具体的な流れを解説していきたいと思います。

木でなく森から暗記する!

はじめから文章を一文一文覚えようとすると、すぐに迷子になります(自分が何をしているのか分からなくなります。)。

文章を覚えよう!とするのではなく、まずは内容を覚えることから!

例えば、課税事業者選択届を提出するという理論。
いきなり税法を覚えようとするのではなく、
「免税事業者が課税事業者を選択するためには、課税事業者選択届を税務署長に提出しなければならない!」という内容 (当然、その背景として、課税事業者でないと仕入税額の還付を受けることもできないから課税事業者を選択する、ということも頭に入れておく必要はあり)、
その「内容」をアウトプットするイメージでボイスレコーダーに記録していきます
(ほとんど変わらないように見えますが、「文章」ではなく、「内容」と意識するだけで、私は楽に言葉にしていくことができました。)

覚えにくい文章は分解して!

長い文章などは、もっと迷子になりやすくなります。
どういう文章構造になっているかなども知るために、一度分解しましょう。

「思い出す作業」を重視

私は「インプット作業」はほとんど行わず、「アウトプット作業」を中心に行っていました
アウトプット作業の方が、税法の条文を頭に焼き付けるのに効果的。

「はじめからアウトプットなんて無理!
と思うかもしれませんが、「木ではなく森」をアウトプットするところから始めます。
そのイメージは上で解説した通りです。
まずは理解した内容をアウトプットするところから始めましょう!

何度も繰り返し行う!

理論は、2回3回見ただけでは覚えられません。
一度覚えてまた忘れて、をできるだけ長い期間で繰り返す必要があります。
そのため、早いうちから先の理論についても覚えることをおすすめします。
(基本は予備校の言っている通りに学習をすることが重要ですが、ここだけは、予備校が求めていなくても早めに対策していきましょう。)

「講義の前に覚えるのは効率が悪い」と思うかもしれません。
確かに、そういった面はありますが、私は「理論暗記ができる」という本当に軽い程度に、テキストやネット情報なども活用しながら、内容をつかんでおき、早めに一度「暗記」をしておくようにしていました。

ボイスレコーダーだけで、実際に解答できるの?

ボイスレコーダーだけで、暗記した理論は書けます。
一定の漢字などを覚えておけば、私は全く違和感なく文字で書くことができました。
さらに口で言うほうが紙に書くことよりも早いため、手を止めることなく、ノンストップで解答していけるでしょう。

本試験では、スピードも重要!

最後は必ず覚えられる!と信じよう

理論暗記をしていると、いろいろな悩みが発生します。

  • 覚えたはずのページが全く思い出せない!
  • 1か月ぶりに見たら、完璧だったはずなのに全然出てこない!

などなど。

最終的には、相当なスピードで税法を書けるようになった私でも、はじめの時期は必ず上のような状態になりました。
(後半ではそれも慣れたので、悩みではなくなっていました。)

毎回税法を暗記するとき、一番はじめが一番キツいです
それでも、「全く思い出せない」という感覚の中で、必死に思い出してボイスレコーダーに録音した言葉が、理論教材に書いてある通りだったりします。
(不思議な感覚ですが…)

一度見た理論だけの理論は思い出せなくても、記憶の奥底に沈んでいるだけで、しっかりと頭の中には残っています。
「あの時の暗記は無意味だった!」などと思うと大きなストレスとなりますが、そんなことはありません。
税法の受験初期と後期との圧倒的な精神的な違いはそこでした。
「忘れるのは当然で、4回目、5回目は相当思い出せるようになる」
と思って、いちいちイライラしないようにしました。
イライラは暗記の敵です!リラックスして暗記しましょう!

Q&A

一字一句覚えるのですか

「一字一句」である必要はありません。
多少文章の前後が入れ替わったり、言い回しが変わっても、意味が変わらなければ基本的には大丈夫です

ただ、税法によっては、相当高い暗記精度を求められる場合があります。
私が受験した科目の中では、所得税法・国税徴収法などがそうでした。

その場合、より一字一句に近いレベルに暗記精度を高める必要が出てきます。

全部の理論を覚えるのですか?

全部の理論が覚えられれば、それにこしたことはありません。
私自身は、基本的に「全理論暗記」を目標に勉強してきました。
しかし、実際には、ほぼ出題されないだろう、というような理論もあります

「全部覚える」ということは、私のような気の小さい人間にとっては、安心をもたらす効果がありました(逆に覚えていないところが出たら終わりだ!という恐怖が大)。
しかし、予備校もほとんど解説していないような理論については、他の受験生も暗記をしていない可能性が高いです。

勉強時間に対し「合格する可能性を高める効果」が薄い、そのような理論は思い切って捨てる、という作戦は有りだと思います。

理論マスターと理サブはどちらがよいですか

まず、理論教材には、大手予備校の大原が出している理論サブノートと、同じく大手予備校であるTACが出している理論マスターがあります。
その違いですが…

  • 理論サブノートのほうが、税法を分かりやすく柔軟に作成している
  • 理論マスターのほうが、税法に忠実に、税法を網羅するように作成している

というイメージです。

基本的には自分が通っている予備校の教材を使用すれば良いですが、私はずっと理論サブノートを愛用していました。
理由は、「税法に対する正確さ」よりも「早く書くこと」が重要!⇒理論サブノートがいいのでは?というところです。

なお、国税徴収法を受験した際は、時間に余裕のある試験でもあり、この科目については、「すべての理論を完璧にするなら理論マスターで覚えたほうが良かったかな。」と感じました。
項目によっては大きく違う部分もありますので、時間のある方はどちらも見ておくと、参考になります。

理論が覚えられません

本当にしっかり覚えるのは難しいです。
(一度見たはずなのに、全然思い出せない!ということも多々。)
それでも頭の奥には、記憶が残っています。
1回目よりも2回目の方が頭に入ってきます。

本当に根気が必要な作業なのですが、4回目、5回目あたりになってくると、少しずつ面白くなってきますよ!

どのくらいのペースで回していましたか

私は、ある程度暗記が出来てきた段階で、2.5週程度で1回転くらいのイメージでした。
(税法によっても分量が全然違いますが…消費税法なら2~2.5週間で1回転くらいのイメージでした。)

消費税法は45題程度ですが、それでも、「1週間で回す」ということは、私には結構厳しかったです。
(予備校でも、直前期では、相当厳しい理論暗記スケジュールが提示されますが…)

特に「働きながら」といった環境などでは、直前だからといって一気に時間を確保できません。
それでも、事前にしっかりと暗記作業を進めて行けば、本試験でも対応できるレベルまで引き上げることは可能です。
地道に事前の対策していくことが重要です。

まとめ

理論暗記は地道な作業です。
それでも少しずつ前進しています。
その「前進している」という事実も分かりにくいのが、精神的にキツい要因の一つでもあります。

この記事を見て、少しでも受験生の皆様の心が軽くなることを願っております。