税理士試験 経験者は独学で合格できるか ~複数回受験で合格した体験談~

2回目の受験の際、改めて講義に申し込むか否かについては非常に迷うところですよね。
なぜなら、予備校の受講費用は非常に高いため
しかし、税法はどんどん改正されます。
さらに改正論点が試験に出題されることも多いです。

そんな中、あなたは予備校と独学、どちらを選びますか??

税理士試験で経験者(2回目以降の受験)は初学者と比べて有利か

さて、予備校か独学かを決める前に、そもそも経験者は有利なのか?ということについて考えてみましょう。
普通に考えると、2回目以降の受験は有利のはずです。
なぜなら、1回目よりも2回目の方が知識も豊富となり、勉強時間も多く確保できるため。

しかし、税理士試験の場合、以下の理由から必ずしも有利とは言えないです
特に消費税法のようなミニ税法の場合はそれが顕著。
その理由は…

初学者のほうがモチベーションが高い

モチベーションが試験の合否に与える影響は、非常に大きいです。
一般的に考えてもそうですが、税理士試験(税法科目)については、膨大な理論暗記作業が必要なことが特徴。
そのため…
モチベーションの高い受験生は直前に理論のアウトプット回数が多くなり、本試験でも力を発揮するのです。

経験者のほうが全体的な理論の理解度は高いはずですが、モチベーションが低く、直前の理論のアウトプット回数が少なければ、本試験で力を発揮できず、初学者に負けてしまうかもしれません

ちなみに…
特に消費税法などのミニ税法については、経験者のモチベーションが非常に下がりやすい内容と言えます。
まずは試験範囲。
範囲自体、そこまで広くないため、何度も同じ論点を見続けることになります
(法人税法のように範囲の広い試験であれば、幅広い論点に触れることとなりますので、2年目であってもモチベーションの減退は小さいです。)
また、計算問題についても、モチベーションの減退材料です。
消費税法のようなミニ税法では、計算問題も単純な作業のようなものが多いです。
そのため、何度も解いていると飽きます。

やる気のある初学者は、基礎的な事項もほぼ完璧。
経験者の皆さんは基礎的な論点をしっかりと覚えているでしょうか?
そんな論点もう見飽きてしまった、なんて思ってしばらく見てなかったら、意外と穴ができてたり。

試験前に密度の濃い学習をした初学者は、なかなか手強いですよ?

知識レベルに初学者と経験者に差がでない(ミニ税法)

これはミニ税法に言えることですが…
初学者でも1年で試験範囲を網羅することができるため、初学者と経験者の知識レベルに大きな差がでません

さらに、本試験において基礎的な論点を中心に出題するのが、近年の特徴です。
(応用論点が強い経験者にはキツいところ!)

経験者が一般的に有利となる理由の1つは、「知識量」の差。
それが活かされるような試験が出題されなければ、経験者が有利になるとは限りません。

しかし、初学者が網羅していないような論点が出題されれば、当然経験者の方が有利!
所得税や法人税のように、膨大な試験範囲の税法については、それを1年で網羅することが非常に困難。
そのため、それらについては経験者のほうが有利になりやすいです!

税法などは年々改正される!

3つ目の理由はこちら。
税法は年々改正される!ということ。
また、会計科目についても、年々内容は新しくなっていきます。

その新たな内容については、初学者も経験者も、初めて見る内容。
そのため、改正論点については初学者も経験者も同じ土俵なわけです。

税理士試験は2回目以降は講義は不要?

さて、上記も踏まえた上で、2回目の受験については、予備校などの講義を申し込まず、独学でいくことは可能でしょうか?(年々改正もされますよ?)

答えは、「可能」です。

1回目の受験の際に、内容をしっかりと理解しているということが前提です。
1年目に真面目に講義を受けた上で、もう一度講義を受ける必要性がない状態であればOK。

2回目以降の受験時においては、予備校などの講義を申し込まずに合格をすることが可能です。
なお、模試パックなどの答練(公開模試を含む)だけは申し込みましょう。

予備校で講義を受講することは、勉強のペースやモチベーションの維持という観点からみれば、役に立つもの。
ただ、その支払う対価の大きさを考えると、独学でも十分です。

参考に私の実際の予備校受講歴を記載します。

①財務諸表論→2回
年々改正がありますが、2回目の受験については、模試パックのみで受験をした結果、合格しました。

②国税徴収法→2回
特定参加差押不動産など、国税徴収法にしては珍しく大きな改正がありましたが、2回目の受験については独学(模試パックのみ)で合格しました。

③消費税法→4回
電気通信利用役務の提供や、税率の改正など、大きめな改正もありましたが、合格した年については、講義を申し込まず、模試パックのみでの受験でした。

逆に、他の科目などで経験者コースなどを申し込んだ年もありましたが、その金額に対してリターンは大きくなかったように思います。

具体的な体験談については、下記に紹介します!

経験者(2年目以降)の独学が可能な理由

繰り返しになりますが、ここで独学とは、予備校などの講義を申し込まずに受験することを指します。

2年目の独学が可能な理由は…

  1. 経験者は改正論点以外の講義を受ける必要がない
  2. 予備校の改正論点対策も限定的である
  3. 改正論点の情報は収集しやすい

改正論点以外の講義を受ける必要がない

講義を受ける最大のメリットは、本を読むだけでは分からないような基本的な考え方などを分かりやすく理解できるという点です。
会計の基本的な考え方などは講義を受けることにより一発で理解できましたよね?
法人税や消費税についても同じ。
資産の譲渡等の考え方などを分かりやすく理解するために一番の近道は講義を受けること。

しかし、講義を受けることのメリットは、「理解をすること」であって、答練の点数を上げることには直接結びつきません。
そのため、経験者コースなどを受講しても、すでに理解している論点について講義を受けることとなるため、効果は薄いです。

予備校の改正論点対策も限定的である

経験者の一番気になるところは改正論点でしょう。
確かに、改正論点については、講義などを受けて対策することがベストです。
しかし、新規の論点の場合、過去の出題実績もなく、情報も国税庁などが出しているものに限られます
そのため、自分で調べて対策した場合と、予備校で対策した場合の差がそこまで大きくありません

もちろん、受験対策の専門である予備校の改正論点に対する情報は、有用な情報であることは間違いありません。
ですが、その高い受講料を考慮すると、予備校の講義にこだわる必要はないように思います。

改正論点の情報は収集しやすい

そして、下記でも紹介しますが、改正論点のピンポイントな情報は収集しやすいです。
税法などについて体系的な学習をするための情報は、一般の市場からは入手しにくいので、初学者が予備校で受講することは必須です。
しかし、改正情報については多くの実務家からも注目の的であり、その情報は一般の市場からも手に入れることができるのです。

それらの理由から、独学でも合格をすることは十分に可能です。
しかし、予備校などで受講をしなければ、学習のペースを掴むことができない方やモチベーションが維持できない方については、受講したほうが良いでしょう。

2年目の独学を成功させるために必要不可欠なこと

2年目の独学を成功させるためのポイントは、合格をするための必須ポイントにプラスして、いかに改正論点の情報を収集するかということです。
その情報の収集方法については下記で紹介します。

合格するための必須ポイントは?

絶対に答練を提出期限までに提出することです。
そして、その答練に挑戦する際は、常に上位20%を目指すこと。

改正論点の理論暗記情報は?

まずは、税法の理論暗記について。
理論サブノートや、理論マスターの改正の内容については、必ず大原・TACのHPに公開されます。
その点、独学であっても全く問題はありません。
新たな情報が出次第、すぐに暗記を開始しましょう。

改正論点の内容は?

まずは国税庁の情報。
改正論点が重要な項目であれば、結構細かくQ&Aのような情報が公開されます。

こちらは消費税法の「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について」の改正情報。
まず、下記のような実務家に分かりやすいようなリーフレットが公開されます。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/cross-kokugai.pdf

そして下記がQ&A。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/cross-QA.pdf#page=45

これだけ詳しく解説されていれば、相当内容も分かりますよね?
予備校も大体こういった情報を集約して講義をすることになります。

また、会計人コースや税務通信などにも、改正情報は記載されます。
必要であればそちらも確認しましょう。

出題予想

まずは、模試パックの情報。
重要な改正論点であれば、その論点を含めた答練は必ず出題されます。

また、国税庁などの情報を踏まえて、自分で出題予想をしましょう。
試験で出題するようなパターンは基本的に限られているため、自分でも予想がしやすいです。
昔からある条文などについては、過去に膨大な判例があるため、それらを分析することは難しいですが、改正論点については判例もありません。
そのため、事例問題も解釈が分かれるようなものは出題されず、さらに限定的な内容となります。
自分で予想するなんてあてにならないのではないか、と思うかもしれませんが、それで対策としては十分です。

税理士試験で2回目以降のモチベーションを保つ方法

「2回目以降は独学でも大丈夫」との紹介をしましたが、「独学」はモチベーションの維持という観点からは好ましい環境を生むことができません。
また、独学に限らず2回目の受験はモチベーションが下がりやすいです。
ここではそのモチベーションを保つ方法を紹介したいと思います。

模試パックなどに申し込むこと

独学で受験しようとすると、スケジュールなどをすべて自分で管理する必要が出てきますので、モチベーションを高く保つことができません。
そのため、模試パックなどでモチベーションを高める必要があります。
期限のある答練を提出することで、刺激にもなり、本試験への意識を高めることができるでしょう。

より実務を意識した学習をする

同じような学習を繰り返すことは、モチベーションを低下させる大きな原因です。
これは2年目に予備校への受講をした場合であっても同じこと。
予備校などのテキストは、内容が画一的な面もあり、2年目以降も似たような内容を多く目にすることとなります。
そのため、一定のモチベーションの低下を避けることは難しいでしょう。

それを対処する方法は、1年目以上に実務を意識した学習にすることです。
それによって目標に対して意識も向き、よりモチベーションも高まるでしょう。

ただし、あくまでも試験の合格が目標であることは常に意識をしておきましょう。
税理士試験は実務に直結した試験ではあるものの、試験合格を考えると、試験対策のための学習が一番効率的です。

理論暗記のモチベーションアップは?

なんども見た理論をまた暗記する、という作業は非常にモチベーションの下がる作業ですよね。
条文を直に覚えるという作業が実務に役立つようにも思えません
また、理論暗記作業が次の8月の試験にのみ使うものだと考えると、非常にやる気も小。
(次の試験でその理論が出題される可能性の低さを考えると、更にやる気も下がりますよね。)
私は理論暗記のモチベーションは下記により高めていました。

答練で上位になることを目指す

こちらは必須です。
理論暗記についても、「試験までに覚えればいい」のではなく、答練で常に上位になれるように学習しましょう。

万が一次の試験に落ちた時でも、来年の試験で役に立つと考える

「次の試験こそ最後」「背水の陣である」と考えて、自分を追い込んで試験を受けたほうが良いことは間違いありません。
しかし、理論暗記については、「万が一不合格となっても、来年まで残るように頭に刻み込む」気持ちで勉強すると良いでしょう。
理論暗記は「本試験だけのもの」ではなく、「答練」や「来年以降の本試験」にも活用できるものだと考えることです。

しかしあくまでも今年受かる!という考えは前提!

脳トレにもなると考える

理論暗記作業は脳を鍛えるという観点から見ると非常に良いですよね。
また、暗記作業はストレス耐性を高めるためにも有効とのこと。
ストレスに打ち勝つ力は社会人には必須の力。

「理論暗記は脳トレにもなる」と考えて暗記をしましょう。

私の体験談

2回目の受験時に予備校に受講したときの体験談

消費税法の体験談

私が消費税法の初受験をしたのは、モチベーションも高い2年目でした。
(そのため、講義はモチベーションの相当高い状態で受講しました。)

1年目 ○簿記・×財表
2年目 ○財表・×消費
3年目 ×消費(特定新規設立法人の改正)

私は、消費税の2回目の受験時において、年明けから経験者合格コースを受講しました。
そのコースの講義の内容はなかなか分かりやすくて優良な授業でした。
しかし、一度基本的な内容を理解していたため、4月以降についてはほとんど講義を見ない状態となりました。

また、特定新規設立法人の改正情報についての授業は視聴しましたが、正直、税務通信で読んだ内容のほうがいい情報だったのでは?と思うような内容。
深い論点については「出題される可能性が低い」ということを伝える内容であり、さらにテキストにも十分と言えるような問題数がある訳でもありませんでした。

法人税法の体験談

私は法人税法について、2年で合格することを目標に学習していました。
そのため、1年目は本試験に申し込まず、初学者の学習コースのみ受講。
そして2年目は経験者合格コースを受講し、本試験に挑みました。

1年目―法人税法・予備学習(未受験)
2年目○法人税法

なぜ経験者合格コースを受講することにしたか

当時私は、経験者合格コースは、経験者のためのコースであり、内容もより高度なものなのだろうと予想していました。
そのため、1年目に初学者合格コースを受講し、2年目に経験者合格コースで知識を上乗せするという方法が合格をする上で良い選択なのでは?と考えたためです。

実際の体験談

実際には経験者合格コースの内容は、「1年目と同じような講義」でした。

私は勝手に9月から、直前期のような応用的な論点などが入った答練に挑戦することができるようなコースを想像していました。
が、実際には基礎的な内容からもう一度学習するというもの。
そのため、それらの講義は初学者コースでしっかりと学習をしていれば、またわざわざ視聴する必要もあまりありません。
そのため、勉強のペースを維持するためには重要な役割を果たしましたが、講義自体はそこまで必要性は大きくありませんでした。

私は上記のような体験から、「次に12月の合格発表で不合格が決まった場合、年明けからはわざわざ予備校に受講する必要はない」との結論を得ました。

2回目以降の受験時に独学だった際の体験談

私は、上記のような体験から、2回目の受験時は、高額な講義を申し込む必要はないだろうと考え、模試パックなどの答練のみを申し込むことにしました。

消費税法合格時の受験

私が消費税法を合格した年までには、前回の受験時から数年経っていたため、国境を越えた役務の提供や、輸出物品販売場など、大きな改正がありました。
しかし、あえて予備校の講義には申込をせず。
改正情報については、上記で紹介したような方法で内容を把握し、答練などにも挑戦しましたが、違和感なしに解答することができました
改正の内容としては大きなものですが、消費税法の基本的な理解ができていれば、そこまで難しい内容でもありません。
そのため、改正情報を含んだ答練についても、他の答練と同じように上位20%以内をキープすることが可能でした。

国税徴収法合格時の受験

国税徴収法も、2回目の受験については独学(模試パックのみの申し込み)で受験しました。
なお、その年は国税徴収法には珍しく、特定参加差押不動産などの新規論点がありました。
しかしあえて講義を受講する選択はせず。

むしろ講義を受ける必要がないため、理論暗記に充てる時間が増加しました
特定参加差押不動産の理論については、ネット上にある理論サブノートや理論マスターの内容を覚えることで対応し、全国公開模試でも全く問題なく解答できました。

これらの体験からみても、2回目以降の受験の際は「独学」でも十分に対応可能であることが分かるはずです。

まとめ

試験は1発で合格したいところですよね?
しかし、税理士試験は5つも科目を合格しなければなりません。
なかなかすべて1発で合格とはならないでしょう。
また、場合によっては3度目4度目のあり得るのです。

そのときあなたはどのように試験対策をしますか?
1年目にしっかりと基本をマスターしているのであれば、自信をもって大丈夫。
自分でモチベーションの維持・学習ペースの管理をすることができるのであれば、独学でも合格可能です。
講義を申し込むべきか、独学で行くか、それらを検討する際は、こちらの記事が参考になれば幸いです。