法人税申告書の別表1・別表4・別表5の繋がりは超重要 ~経営改善&節税対策には、まず仕組みの理解が必要不可欠!~

「法人税の計算は難しい!」ってよく言われます。

確かに難しいです。
実際に税務の仕事をしていても、判断に迷うことばかり。

でも実は、基本的な部分に着目してみると、そこまで難しいものではありません。
また、その基本的な部分を知ることで、節税のための経営判断にも役立てることができます。

その基本的な理解をする上で必要な別表はたったの3つ。
別表1・別表4・別表5(一)です。

経理の方や経営者の方はもちろん、税務・会計初心者の方でも分かりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

法人税申告書の別表1と別表4と別表5(一)のつながり

さて、個々の別表の話をする前に、簡単に法人税の仕組みを説明させていただきます。

まずは決算で利益を計算するのですが…

別表4

その利益を基に、「課税所得」が計算されます。
「課税所得」とは、法人税の計算の基礎となる金額。

別表4で調整!

別表1

そして、その課税所得に税率を乗じて、法人税額を計算するのです。

別表5(一)

ちなみに別表4で会計上の利益と課税所得とのズレが生じますが、その「ズレ」の中には、将来解消されるズレもあります。
そのズレた金額を記録しておくのが別表5(一)。

まとめると、
・別表4で課税所得を計算
・別表1で課税所得から法人税額を計算
・別表5(一)に課税所得の計算上のズレを記録

その他、別表は本当に多いですが、その内容は別表4や別表1に記載する個々の項目を計算・補足するために使用するものがほとんど。
そのため、まず法人税の大枠を理解するために必要な別表は、この3つです。

法人税申告書の別表4とは

別表4は、会計上の利益から課税所得を計算する別表です。

こんなもの。

別表4 国税庁HPより

字が小さくて見にくいですよね。
別表4のイメージはこんな感じです。

別表4の計算

別表4のスタートは、会計の最終利益である税引後当期純利益が出発点です。

違和感を感じた方もいるかもしれませんが…

別表4のスタートは、税引前、ではなく、税引後当期純利益です。

税引後当期純利益は名前のとおり、法人税等の額を引いたあとの金額。
その「法人税等」を計算するために用いるのだから、税引前を使うのでは?と思いますよね。
実際には、法人税等のうち、ほとんどが「損金算入」となりますので、税引前当期純利益に近い金額となったりしますが、別表4のスタートはあくまでも、税引後当期純利益です。

会計上の利益と、課税所得とでは、金額のズレがあります。
会計上の利益はあくまでも会計上の利益ですが、法人税は法人に平等に課さなければなりません。

例えば、社長が「利益が出た分、全て私の報酬にしておこう。」と、自分に報酬を計上したとします。
そうすれば利益は0とすることだって簡単。
いくらでも調整できてしまいます。

そのため、そういった費用は法人税法上の費用(損金と言います)として認められません!として、課税所得を計算する際に加算するのです。

こうして、法人税はなるべく平等に課されるようになっています。

法人税申告書の別表1とは

別表1とは、別表4で算出した課税所得などから法人税額を計算する別表です。

別表1はこちら。

国税庁HPより

こちらも小さくて見にくいと思いますので、下記の簡単なイメージも参考にして下さい。

別表4で課税所得を計算しました。
その課税所得を基に、この別表1によって法人税額が計算されることとなります。

法人税申告書の別表5(一)とは

別表4で課税所得を計算する際に生じたズレのうち、将来解消されるズレを記録する別表です。

国税庁HPより

以下はイメージ。

社外流出と留保

社外流出

先ほどの例でも説明しましたが、役員給与については、課税所得の調整が簡単にできないように一定の要件を満たすものしか損金として認められません。

なお、その損金不算入となる金額は将来においても、損金として認められることはありません。
そういった調整項目が「社外流出」。

留保

社外流出に対して、留保となるズレは、将来解消されるズレ。
会計上は、正しい期間損益を計算することが目的ですが、税務上は公平に税金を課すことが目的。
そのため、見積的な費用については、確実ではなく、利益の調整もしやすいため、税務上は認められません。

例えば、賞与引当金。
ボーナスは年2回って会社も多いです。
そのため、会計上は前もって費用として計上します。
正しく期間損益を計算するためです。

税務上は、実際に支払われたときに損金となります。

賞与引当金の繰入による費用は、損金不算入となります。
これが留保項目。

別表5(一)に記載されるのは、この留保項目。
こういった、一時的なズレを忘れないように記録しておくのです。

別表1・別表4・別表5(一)が法人税申告書で重要な理由

これらの別表は、法人税の根幹の部分であるため、法人税を理解する上で非常に重要。
上記の別表の意味と流れさえ分かってしまえば、法人税の大枠は理解できた、と言えるでしょう。

その他、多くの別表はありますが、上記3つの別表を木の幹とすれば、他の別表は枝葉の部分。
先ほどの、個々の損金不算入額などを計算する別表や、金額の明細などを記載する別表がほとんどです。

別表1・別表4・別表5を理解すると経営改善や節税対策に繋がる

さて、ここまでお読みいただき、重要な別表3つを理解することができましたでしょうか?
これらの別表の知識は、経営改善や節税対策に役立つこと間違いなしです。

課税所得に対して課される法人税等の額は相当の金額ですので、なるべく節税をしたいですよね。

節税をするための第一歩は、その仕組みを知ること。
この別表を理解することが、その大きな一歩です。

さらに、その別表を読むことで節税対策を考えることができます。

なんで今年は赤字なのに法人税がこんなに課されるんだ?
なんて思ったときは、別表4を見て下さい。
「今期株で大損した分が、損金として認められていないのか。」などと知ることができます。

今年はなるべく節税をしたいが、会計上の利益は確保したい。
なんて思ったときは、別表5を見て、この間の株の大損の分が記載されているぞ?
ということは、会計上は前期に損失を計上してあるから、当期に売却すれば、損失を出さずに課税所得を減らすことができるのでは?
という作戦も立てることができるのです。

法人税等を節税したい!という方であれば、これらの別表と、そのつながりの理解は必須。
資金繰りにも大きく影響を及ぼす法人税等の額。
節税をするためにも、その金額の見込みを立てるためにも、ぜひこれらの別表について理解しましょう。

まとめ

3つの別表ついて、大まかにイメージを掴むことができましたでしょうか?

経理関係の方でも、なかなか税務についてはよく分からないという方も多いと思います。
この3つの別表さえ理解してしまえば、法人税の仕組みを大体理解できたと言っても過言ではありません。
それだけこの3つの別表は、非常に重要なのです。

少しでも皆様のご理解の役に立つことができたのであれば幸いです。