一般企業の経理実務と税理士法人(会計事務所)の実務の違いは ~繫忙期・残業時間・得られるスキルも解説します~

一般企業の経理と税理士法人(会計事務所を含む。以下同じ)。
同じ会計の仕事でも、実際の中身は全然違います。
私は一般企業から税理士法人に転職しましたが、その大きな違いを実感する日々です。
共通点は、会計・税務の知識が武器となる点しかない、といっても過言ではないでしょう。
この記事では、私の経験から、その仕事の内容のイメージを伝えて行きたいと思います!

なお、一言で一般企業・税理士法人といっても、規模やサービス内容も違えば当然仕事内容も変わってきます。
ここでは私の経験から、一般的なイメージを掴んでいただけたらと思います。

やりがいの違いは?

一般企業と税理士法人では、間違いなく税理士法人のほうがやりがいが大きいでしょう
ただ、それと同時に、税理士法人の方がストレスも大きいと言えます。

税理士法人では、下記のような理由によりやりがいは大きいです。
①自らが前線部隊としてお客様と向き合い、直接売上に貢献できること
②次々と新たな課題が現れること
③実力主義であること

①自らが前線部隊としてお客様と向き合い、直接売上に貢献できること

税理士法人では、自らお客様と直接話をし、最前線で仕事をすることとなります
それに対し、一般企業ではあくまでも管理部門としての勤務となり、直接売上に貢献することはできません

私も建設業の一般経理として勤務していましたが、どうしても直接稼いでいる現場の方のほうが「頑張っている」、というような構図ができてしまい、私は「自分も現場に出て仕事をしたい」という気持ちすら起きてしまいました。
今では自らお客様を相手に売上に貢献できているため、強くやりがいを感じます

②次々と新たな課題が現れること

また、税理士法人では、お客様から次々と質問もあり、新たな課題も出現します。
そのため、刺激は多いです

それに対し、一般企業では基本的には自社の1社分の会計(または関連する子会社等)だけみていればよく、日々の仕事に刺激は少ないです

私は一般企業時代、ルーティンワークも多く、刺激の少ない日々を過ごしていましたので、そういった意味では今とは別のストレスがありました。
税理士法人で勤務する今では、自分の知らないことに直面することが多いため、精神的な負担は大きいですが、やりがいも大きいです。

③実力主義であること

税理士法人では、人手不足かつ転職が当たり前な社風もあり、実力があれば即それに見合う仕事が与えられます
それに対し、一般企業では、社内での人間関係も複雑に構築されており、資格や知識があっても、なかなか仕事が回って来ないことも多いです

私も一般企業時代は、税理士試験の勉強もしていたため、会計の知識はありましたが、実際の重要な決算業務や財務諸表の作成業務が回ってくるまでは一定の期間がありました。
現在の税理士法人では、どんどん仕事が回ってくるため、実力もすぐに発揮できます。

ワークライフバランスは?

ワークライフバランスの面を見ると、断然一般企業の経理のほうが良いです。

理由は…

一般企業の経理…一般的に仕事量も残業時間も多くなく、忙しい時期が明確なため、有給休暇も取りやすい。

税理士法人…一般的に仕事量・残業時間は非常に多い。
なお、繁忙期と閑散期は明確であるが、普段から突発的な仕事も多く、休みの調整がしにくい。

という違いがあるから。

全体的な仕事量・残業時間

税理士法人では税務・会計の高度な知識が要求されるため、人手不足な状態となっています
そのため、仕事量は基本的に多く、業界全体で残業時間も多いことが特徴です

それに対し、一般企業の経理職は、税理士法人ほど高度な知識も要求されず、求人でも人気です。
仕事内容も社内の会計だけであり、残業時間は少ないことが通常です

繁忙期・閑散期

一般企業の経理では、毎月決まった時期に、支払業務や請求書発行、月次決算等の仕事があり、月末月初が忙しくなりがちです。
年間で見ると、決算の時期が繁忙期となります。
ただし、忙しい時期も、決算時期以外は夜中まで仕事をするような状況にはなりにくいです。

税理士法人の多くは、年末から翌年3月ごろに繁忙期を迎えます(個人の確定申告の時期は決まっているため)。
その時期は夜中まで仕事が終わらない状態がしばらく続きます
それ以外の時期も、月末頃など、法人の決算・申告時期については、仕事が夜まで終わらないこともよくあります。

得られるスキルの違いは?

スキル面で見ると、税理士法人のほうが得られるものが大きいでしょう
両者では得られるスキルの内容も異なりますが、転職時に役に立ちやすい、汎用的な知識・技術的なスキルが身につくのは、税理士法人です

そのため、
税理士法人勤務者…
転職が容易。税理士法人への転職だけでなく、一般企業への転職もしやすい。

一般企業経理勤務者…
経理経験は一定の評価になるため、他業界と比べると転職も比較的しやすいが、税理士法人の経験に比べ評価されにくい。

という特徴があります。
ちなみに、経理の業界では、資格があると高い評価につながるため、将来同業界の転職を考えている方は、資格もあわせて取得しておくと良いでしょう

税理士法人で得られるスキルの詳細

税理士法人では、
①汎用性の高いスキル
②専門的な会計スキル
③タイムマネジメントスキル
が得られます。

・多種多様な企業に対応
税理士法人では、専門家としての責任のある立場で、さまざまな会社の経理を見ることとなります。
そのため、汎用性の高い、専門的なスキルが身につきます

・業務量が膨大
業務量が単純に多く、こなす仕事量が多いため、日頃からスケジュール管理ができていないと仕事が回りません。
そのため、タイムマネジメントスキルも身につけることができます。

一般企業で得られるスキルの詳細

一般企業では、
①一般的な会計スキル
②一般企業特有のコミュニケーションスキル
③緻密な資料作成スキル
が身につきます。

・組織で働く力が身につく
経理に従事していれば、一般的な会計スキルは自然に身につくと同時に、一般企業特有のコミュニケーションスキルが身につきます
一般企業では、勤続年数が長い方も多く、複雑な人間関係が構築されており、何か行動する際は、常に順序を考えなければなりません。
その中でうまく生活するスキルは、一般企業人としては重要なスキルです。
このスキルは転職の際も一定の評価を受けるでしょう。
なお、税理士法人では、転職者も多く、上下の構造も複雑ではないため、そのようなコミュニケーションスキルを得にくいです。

・じっくりと資料を作成できる環境がある
一般企業では、大量の仕事をこなすことよりも、緻密かつきれいな資料・書類を作成することが求められます
他部署や役員等に対する見やすいプレゼンの資料や、細かい財務内容まで加味した分析の資料を作成するような機会もよくあります。

そういった資料を作成する力は、税理士法人では身につきにくいです。
膨大な日々の業務をこなすことが最優先であるためです。

そういった資料の作成は、モチベーション次第で仕上がりも全然違うもの。
そのため、業務に熱心な方が誠意を持って資料を作成していれば、相当のスキルが身につくでしょう(その逆もまた然りです。)。

処遇面(給与など)の違いは?

給料等の処遇面でいうと、「労働に対する対価」という意味では、一般企業のほうが割に良いと思います

なぜなら、税理士法人が上記のように忙しいのにも関わらず、そこまで給与が高いとは言えないためです。
なお、税理士法人では、残業も多いですので、その分稼ぐことはできるかと思います。

私の場合は、一般企業(9年間勤務)から税理士法人に転職しましたが、転職時点での基本給ベースでいうと給与は下がりました。
税理士法人の仕事の忙しさから考えると、「給与ではなくやりがいのある仕事がしたい」「自分の実力を高めたい」「将来税理士として独立したい」といったモチベーションがあるのでなければ、給与水準は低く感じてしまうかもしれません。

私はどっちに就職すべき?

安定した波の少ない人生を求めている方

一般企業の経理を選択しましょう。
税理士法人では、転職が当たり前な社風であり、長く勤めている方は少ないです。

なお、一般企業では、将来会社が倒産するなどの危機が訪れた場合、その後の転職が難しくなるかもしれません。
そうならないためには、簿記検定などの資格を取得しておくなど、知識をアピールできる材料があると良いかと思います。

仕事にやりがいを求めている方

税理士法人で勤務するのがおすすめです。
一般企業の経理は、やりがいを感じにくいです。
また、将来ワークライフバランスを考えた転職をしたくなり、一般企業を志望したときも、比較的転職はしやすいです。
税務など、一般企業でも求められるスキルが身につくためです。

将来独立を考えている方

将来独立を考えている方であれば、税理士法人の勤務は必須でしょう。
一般企業の経理と税理士法人の仕事の内容は、全然違います。
よっぽど特殊な場合でなければ、税理士法人で経験を積んだほうが良いでしょう。

まとめ

一般企業と税理士法人の違いをまとめると、以下のようになるでしょう。

 税理士法人・
会計事務所
一般企業
やりがい
スキル
ワークライフバランス×
処遇

なお、どちらが自分に合っているかは、求める内容や、自分の目指す将来像によっても全然違います
将来のことや目の前の転職に悩んでいる方は、この記事も参考にしていただけたらと思います。
自分にとって最適な選択ができることを願っております!