税理士試験 消費税法の難易度・勉強時間・受験対策を考えてみた

リューゴ
リューゴ

我々は非常に苦戦したよね(笑)

くもべぇ
くもべぇ

まだとってないっすけど、もう受けたくない…

いろいろな意見があるようですが…

間違いなく消費税法は受けたほうがよい!

理由は…

  1. 実務に非常に役に立つ
  2. 受験者数が多いため、合格しやすい(会計科目の次に受ける人も多く、税法に慣れていない受験生も多いように思います。)

ただ苦手な人もいるかも?

試験の概要

税法科目のうち、任意科目に該当します(いわゆるミニ税法の1つです。)。

例年1日目(8月第1週目の火曜日が多い。なお、令和2年度は8/18(火))の3限(15:30~17:30)に行われ、同時に行われる酒税法と消費税法は、どちらかの科目を選択することしかできません。

実務に役立ち、税法の中では比較的難易度も低め※であるため、税法3科目のうち、多くの受験生が選択する科目と言えます。

※実務に役立つ法人税法・相続税法・所得税法などの試験に比較し、試験内容に受験者の層・受験者数が多いこと等を加味し、低めと表現しています。

受験者数及び合格者数・合格点

受験者数は毎年税法科目の中で一番多い科目となっています。
合格点は60点とされていますが、おおむね上位10%の者が合格する試験となっています。
★下記の受験者数をみていただくとわかりますが、会計科目と比べると受験者数は少ないです。

 受験者数合格者数令和元年合格率平成30年合格率平成29年合格率
簿記11,7842,05217.414.814.2
財表9,2681,75318.913.429.6
所得1,65921212.812.313.0
法人4,26062714.711.612.1
相続2,89733811.711.812.1
消費7,45188411.910.613.3
酒税4926112.412.812.2
国徴1,67721312.710.711.6
住民4107819.013.514.3
事業3925814.811.011.9
固定86811913.714.913.3

勉強時間・難易度は?

予備校などによる勉強時間は300時間(理論暗記を除く)とされていますが、実際にはそれ以上の勉強時間を要すると考えられます(ミニ税法とは言いますが、近年の改正なども含め、それなりにボリュームがあります)。

なお、働きながらでも1年で十分に合格レベルに達する勉強時間を確保することができると思います。

理論暗記時間を含め、最低400時間標準的には750時間程度は勉強が必要かと思います。

理論題数は45題(理論マスター)、1題1題の分量はそこまで多くはありません。
文章構造はすっきりとしていますが、1文が長めなものも多く、法人税法と比較して覚えにくいと感じる方もいるようです。

頻出論点を重点的に学習した場合の勉強時間⇒500時間程度

比較的、論点が偏って出題されるため、それらの頻出論点に絞って学習することで、ある程度、合格する確率を高めることができます。

近年の試験では、「基本的な事項についての理解を問うもの」が多い

大体全範囲を網羅して相当の確率で合格できるようになるまでの勉強時間⇒850時間程度

後述しますが、勉強時間が少なくても合格できる受験生は一定数いる試験だと思います。

なお、私は、この税法合格に至るまで、計4回受験し、1,700時間以上要しました…

(しかし、1,000時間以上の勉強時間となった2回目の受験時の公開模試などではおおむね上位1桁台に入れるくらいの状態ではありました。)

試験問題の内容

2時間で下記に示す、計算問題・理論問題を解答するというものです。
なお、比較的2時間目いっぱい使っても解き終わらないような問題が多いです。

計算問題50点程度

消費税の申告書をイメージした計算問題で、納税義務の有無を判定した後、消費税の課税区分を分類(以下、課否判定)し、最終的に消費税を算出するという問題です。
税額計算は原則課税のほか、近年は隔年レベルの頻度で、簡易課税制度の問題が出題されています。
原則課税の計算パターンは、基本的にひたすら課否判定⇒集計の繰り返し作業です。

この商品の譲渡は?⇒課税! 土地の譲渡は?⇒非課税! これを集計し続けるイメージ

ちなみに簡易課税制度の計算パターン

工事の売上⇒第3種事業 自動販売機の売上⇒第2種事業 これを集計し続けるイメージ

計算パターン自体は限られているので、覚えることは難しくないように思います。
そのほか、調整対象固定資産、国等の特例の計算パターンなどがあります。

理論50点程度

消費税法の理解を問う記述問題です。

①事例問題
消費税の課否判定を判断するプロセスを記述する問題・事例に沿った必要な届出書を記述する問題などがあります。

頻出論点は課否判定の記述問題です(近年では毎年のように出題されています。)。

国内における土地の譲渡の課税関係は? 
①国内における課税資産の譲渡等なので課税の対象→
②非課税の限定列挙に該当するので、非課税 といった判断を記述

②法令の根拠を問う問題(いわゆるべた書き問題を含む)
自分で必要な法令の根拠を抽出し、それを記述する問題です。

 具体的な攻略法

試験パターンについて

まず、消費税法の試験パターンについて解説します。
消費税法に限りませんが、本試験においては、さまざまな試験パターンに対応する必要があります。

予備校などの試験では…

応用論点などが含まれる適度な問題

が出題されますよね。
予備校の問題は、基本的に良問です。
このような問題ならば、大体実力通りの結果となるでしょう。

しかしそのようなバランスの良い問題が常に出題されるわけではなく…
本試験ではこんな問題などが出てきます。

めちゃめちゃ基本的な論点が出題されるパターン

このパターン、意外とあります。
範囲を絞って学習した初学者の方はうれしい限りです。
逆にベテラン受験生にとっては、厳しいところです。

なぜなら、理論暗記精度を高める時間のない初学者であっても十分戦うことができ、合格ラインに食い込んでくるからです。
(しかも、応用理論をたくさん覚えたのに!っていう精神的ダメージも相当)

私みたいな別に地頭がいいわけではない人間にとっては、結局なんとなく試験範囲全体を網羅していても不合格となるわけです。

圧倒的な分量の問題

消費税法では、結構計算問題の分量が多いパターンの問題が出てきます。
そういう問題では、どこに手を付けたかによっても合否に影響を与えそうです。
(理解問題の答案を充実させたor計算問題をなるべく解いた等)

会計科目では、一つの枠に1つの数字が入るので、解答戦略は立てやすいですが(点を取りやすいところをやっていくというもの)、消費税法の場合には、うまく解答していかないと中途半端になってしまったりします。

十分な知識があるベテラン受験生でも、そういった配分ミスにより、不合格になってしまうことが考えられます。
上記のように、様々なパターンがあり、非常に憎たらしい試験なのです。

したがって、どれくらいの勉強時間を確保できるかによって、どのように勉強していくかある程度戦略を立てる必要があります。

合格するためには、この辺のバランスが重要
①そこそこのスピードで計算問題を解答できる能力
②そこそこのスピードで理論問題を解答できる能力
③その中でも基礎的事項は完璧に解答できるようにしておく
それらがそろっていれば、本試験も大体対応できるのでは?

合格までの道のり

様々な試験パターンを考慮すると、勉強計画が非常に重要なのです。
(うまく勉強すれば、1年目で、そこまでの勉強時間を確保できなくても、合格する可能性をアップできます!)

①確保できる勉強時間が、400~500H程度

頻出論点は暗記を完璧にしつつ、それ以外の理論は簡単な理解程度にとどめて、勉強しましょう!

②確保できる勉強時間が、500~750H程度

基本的には①と同じように、頻出論点を中心として学習すべき
細かい論点(例えば、特定新規設立法人の納税義務の判定の細かい部分が気になってしまっても…)は、なるべく手を付けないようにしましょう。

③確保できる勉強時間が、750H程度~

750Hを超えると全体的に網羅して、合格を目指せるくらいの時間になってきます。
計画的に勉強を進めていきましょう。

合格までの道のり(1年で720時間ver)

720時間は、大体毎日2時間程度、1年間勉強し続けたようなイメージ。
合格までのスケジュールのイメージを、私の実際の勉強生活を混ぜながら説明していきたいと思います!

9月~12月期

この時期は、予備校では基本的なことを学習する時期です。
その基本的事項は非常に重要です!
予備校の求めることを確実にマスターすることが最優先。
時間があるようでしたら、理論暗記の予習をしておくとよいです。
が、確保できる勉強時間が700時間程度の場合、頻出論点を重視した学習としましょう。

ちなみに、私は1年目のこの時期、消費税法1本だったため、予備校の内容には十分ついて行けました。
そのとき私は「全理論を覚える」を目標に学習していました。
しかし、その結果1年目は大体どんな問題が出題されていても合格は厳しかったでしょう。

1月~4月期

5月~8月の直前期には、レベルの高い答練がどんどん出てきます。
その前に、この時期までに基礎を完成させておく必要があり。
重要なのは、答練に対応できるような力を身に着けること
(直前期は、答練・理論暗記共に厳しいです)

私は、この時期において、財表が不合格であったことが判明したため、財表合格を重視した2科目の勉強となりました。
消費税については、「全理論暗記」を目標に学習し、答練はあまりいい結果ではありませんでした(上位30~40%前後)。
ここでもっと答練重視にしておけば、1年目も、もっと合格の可能性を高めることができたはずでした…

5月~8月期

この時期は、レベルの高い答練をこなしつつ、本試験に向けて理論暗記精度を高める必要があります。その両立ができれば、◎。

なお、1年目の私は、この時期の答練に正直ついて行けませんでした。
その結果、私は1年目(740時間ほど勉強しましたが、)、合格レベルには行き着きませんでした。

上記では、勉強時間720時間のパターンとして解説しましたが、もっと学習時間を確保できる場合であっても、「頻出論点を重視するスタイル」で学習するのがおすすめ
覚えられるなら、マイナー理論(Cランク)も覚えるべきですが、頻出論点は完璧にしておきましょう!

具体的な攻略法(計算問題編)

ポイントはこちらです。

  1. 早く正確に書けるように暗記すること
  2. 応用問題は何問も解く

早く正確に書けるように暗記すること

ただ暗記するだけでは×
試験中に必要な理論を抽出し、相当のスピードで書き出す能力が必要です。

頻出論点については猛スピードかつ1字1句レベルで出力できるようにしておくとよいでしょう。

⇒具体的にはこの論点!

課税の対象、国内取引の判定、非課税、輸出免税、仕入税額控除
+大原・TACの推してる論点、改正論点など
たったこれだけなので、頑張りましょう!

他の論点は他の受験生もそこまで高い精度で暗記しているわけではないような印象です。(税法によっては、受験生全体が本当に高い精度で暗記しています。)
そのため、他の論点についてはある程度正確かつそこそこのスピードで書ければ合格ラインには乗せられるかと思います。
(ちなみに、実質享受者課税(実質判定等)、法人課税信託、工事の請負・リース譲渡・小規模事業者などは思い切って捨ててもよいかと。)

あまり出題されなそうな理論暗記に時間を費やし、全体の理論の精度が下がってしまえば、どんな問題が出ても合格ラインに達しないなんてことになってしまうかも?

応用問題は何問も解く

応用問題(事例問題など)でレベルが高くなってきますと、はじめは、「??全然言ってる意味が分かりません」となるはず。
しかし、何問も解いているうちに、自然に考え方が身についてゆき、解答できるようになってきます。

おすすめな教材はこちら

①理論ドクター
(TACの市販教材。大原は理論の教材を市販していません)

②大原の受講生に配布される、理論問題集
結構充実しています。

③TACの受講生に配布される、直前試験対策の理論編
(理論ドクターと異なる問題も多くあり、結構充実しています。)

全部そろえるのは無理!ってところですね…。

④更に時間がある場合には、判例研究をしてもよいかと。
(ただし、時間がある人に限ります。予備校中心の学習を!)

その際、国税庁のHPの質疑応答事例は非常に役立ちます。

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/01.htm

課税範囲の通則~非課税までは、一度目を通しておきたいところ。

財表では「理論は追及しすぎないほうが良い!」と書きましたが、消費税法ではある程度追及しても損はないと思います。
(考え方は多くの問題に共通しているからです。
追及していけば、どんな問題が出ても解けるようになりますよ!)

「消費税法の原文を見るべし」って話は?

ほとんど理論サブノート・理論マスターで網羅されており、原文とそこまで乖離もないため、個人的にはそれほど重要だとは思いません。
ちらっと見てもよいでしょう!

2計算問題 

  1. 総合問題⇒課否判定は早く正確に
  2. 納税義務の判定⇒多くの問題を解く!

総合問題⇒課否判定は早く正確に

・どこまで解答すべき?

総合問題は、一応、納付税額(又は還付税額)まで計算を終わらせたいところです。
が、基本的には結構分量が多いです
そのため、調整対象固定資産・著しい変動の判定等は場合によっては捨てるなどの一定の工夫は必要かと思います。

また、解答作成のテンプレートは、早く解くことを主眼においたものにするとよいかと思います。
(「区分経理及び税額」など、書いても書かなくてもたぶん点数に影響はなさそうですし、その割にそれらも数あれば意外とタイムロスが生じます。)
大原とTACも結構違いますので(特に簡易課税)、比較しながら最善のテンプレートを作成しましょう。

解答作成のテンプレート

下記のような、計算過程の記載方法。
なお、解答用紙にもともと記載されているパターンも多いです。
例えば 「区分経理及び税額」。
1課税対応2非課税対応3共通4合計5個別6一括7判定
これくらい略したところで、減点されるようには思いません。
律儀に長々と書くと時間が足りなくなります。

学習のポイント

総合問題は、1問丸々、会計科目のように高い頻度で解かなくてもよいでしょう。
(学習初期、慣れるまでは高頻度で解くのもよいと思いますが)
それより、ポイントは「早く正確に課否判定が行えるようになること」です。

テキスト

市販教材は、すべて取り組んでおいたほうがよいでしょう。
大原2冊(基礎・応用)TAC2冊(基礎・応用)
直前は理論暗記がきつくなってくると思いますので、早めにやっておきたいところです。
(会計科目と違い、TAC大原両方の模試パックなどを申し込まなくてもよいと思います。
すべてこなすのはキツいですし、そんなに計算問題に多く挑むことが有用とは思いません。)

納税義務の判定⇒多くの問題を解く!

納税義務の判定については、完璧に解答したいところです。
しかし意外とケアレスミスが多発し、最終値を出すのが結構難しいです。

合併・分割等、いろいろと難しいですが、多くの問題に触れるようにしましょう!
(さらに特定新規設立法人などもあり、年々難化しています。
R1年は結構深い論点も出題されましたが、1年目はその辺を追及しすぎないほうが良いかと。
予備校の解答速報などでは、そこまでできなくても合否に影響はないとされています!)

解答の話ですが、大原とTACの端数処理が微妙に違います。個人的には非常に気になりました。
(基準期間における課税売上高の月割額で、大原は除した金額について1円未満は切り捨てた後、月数を乗ずるのに対し、TACでは除した金額について切捨て処理は行わない等。
ちなみに公開模試などで上記の端数処理が違うことによって、誤りとされることもあります。)

1年で合格!を目標に

くもべぇ
くもべぇ

難易度難易度って言いますけど、圧倒的につまらないっすよね。

リューゴ
リューゴ

まぁ~…会計科目に比べるとね。

計算

計算は、基本的にひたすら課否判定⇒集計の繰り返し作業なので、会計科目と比較すると非常につまらないです。

理論

税法の特徴ですが、理論はひたすら暗記をすることが求められます。
まぁ他のミニ税法に比べたら面白いかも?
地道な積み重ねに耐えられるかどうかという問題は、想像以上に大きなものです。

しかし、税理士試験は年1回。
めっちゃ頑張っても落ちた時の衝撃。でかいです。

リューゴ
リューゴ

勉強に楽しさを求める人は消費税法が苦手だろうね~

くもべぇ
くもべぇ

俺っすね!

強いエネルギーのもとで会計科目を合格できた方、そのエネルギーのやり場のなさに戸惑うかもしれません。会計科目に求められるものが攻撃力だとすれば、消費税法に必要なものは防御力ではないかと思います。

「1年で取る!を目標に」なんて書きましたが、「1年で取りたい!間違いなく。」ってところでしょうか(笑)。

消費税法Q&A

ちまたでは「ほんの少しのミスも許されない」であるとか、「半年勉強すれば合格できる」「合格できるかどうかは運」であるとか、様々な情報が出回っています。

実際はどうなんでしょうか??

ほんの少しのミスも許されない、は本当か

上記で示した「めちゃめちゃ基本的な論点が出題されるパターン」で、全体の分量も少なめな場合は、ほんの少しのミスも許されないかと。
多くの受験生が合格ラインに乗る可能性があり、差がつきにくいため、小さなミスが致命的なミスにつながります。

なお、予備校の模試でよく出題されるような、適度なレベルの問題であれば、多少のミスは許されます。

合格できるかは運?

追求すればするほど他の受験生との差は間違いなくつきます。
だから正しい勉強ができている方は、相当合格する確率を上げることが可能な試験だと思います。

ただ、「めちゃめちゃ基本的な論点が出題されるパターン」の場合は、よく勉強されている方と、勉強期間の浅い方との差はつきにくくなります。そういった年の試験については、運の要素も強くなります(「運」と一言でいうのも気が引けますが…)。

基本的には、予備校の摸試の問題は質もよく、実力の差によって得点にも差がつくような内容になっている場合が多いですが、本試験は妙に簡単な問題が出題されたり、勉強量ではなく勘や直感がものをいうようなトリッキーな問題が出題されたりと、実力の差がつきにくい問題も多くあるのは事実です

半年でも合格可能?

消費税法については、半年で合格する可能性も充分にある試験だと思います
理論の山を張れば、その理論が出た際は合格できる確率は高いです(これこそ「運」かもしれませんね)。
理論問題については基本的に広い範囲から満遍なく出題される訳ではないからです。
また、試験ではほぼ出題されないだろうと思われる理論も相当数ありますので、それなりに山を張りやすいです。

ただし、半年で合格確実レベルにもっていくことは非常に厳しい試験です。
覚えるべき理論の量も多く、計算の勉強時間も一定時間確保する必要があり、半年で合格確実レベルに持っていくことは難しいでしょう

まとめ

長々と書きましたが、消費税法のイメージはつきましたでしょうか?
あまり受けたくない試験ですよね。

それでもあえて言います。
官報合格目指すならこの科目は間違いなく受けましょう!