税理士試験合格のためには実務経験は必須か~実務経験の弱い一般企業経理や専念生は不利?~

一般企業や公務員、受験専念などで、税理士を目指そう、と思ったとき、「実務を知らないから、試験で不利になるのでは?」という不安がよぎります
せっかく本気で勉強しているのに、不利な状況になってしまう、というのもちょっと悔しいですよね?
やはり実務を知らないと不利になってしまうのでしょうか?

実務を知っていると有利?

私は一般企業の総務から税理士試験の合格を目指しましたが、全く問題はありませんでした
確かに、「実務を知っているか知らないか」で言えば、知っているほうが多少有利。
しかし、それは税理士試験を敬遠する理由になるほどのものではありません。

なお、科目ごとにその度合いも異なりますが、どの科目でも予備校はしっかりと受験生をフォローしてくれます。
そのため、予備校を信じて学習すれば合格することは可能です

法人税法は税法の中では「実務を知っていると有利」と言える内容のように思います。
それでも、一般企業経理である私や私の後輩は、同じような勉強時間で、予備校を信じた学習で合格することが出来ましたので、「実務経験」という要素はそこまで重視しなくて良いと思います。

実務を知っているとここが有利

とはいえ、実務を知っているのと知らないのでは、知っているほうが間違いなく有利です
有利になる点は下記。

実際のイメージがしやすい

実務をしらないと、勉強も机上の話のみとなってしまい、イメージがつきにくいです

例えば、会計科目であれば、仕訳がどのように入力されているのかといったことも分かりません。
実務経験者ならば、実際にどのような会計ソフトを使ってどのように入力されているか、ということからこういった会計処理はこういうときに使われる、といった流れまである程度知っています。
そのため、実務を知っていると内容を一発でイメージできるのです

問題文を見ても、講義をみても、「どういう論点なのか」ということまでイメージできれば、解答の方向性もすぐに掴めます。

仕事上での経験と比較できる

「仕事上でこのように処理していたのはこのためだったか。」「あのときの処理はこう処理するのが正解だったのか。」
と言った風に、自分の経験と比較できます
そのため、受験勉強だけよりも、強く印象に残りやすいでしょう。

上記のようなメリットを紹介しましたが、実務経験は絶対的な差を生むものではありません。
学習をする際はそこまで気にしないで大丈夫と言えるでしょう。

実務を知らない受験生はどうすべき?

実務経験者の有利となるポイントは分かりましたが、実務を知らない受験生はどうすべきなのでしょうか?

基本的には、「実務ではどうしているのか?」ということを想像する程度で大丈夫
合格を目指す際は予備校を信じて学習を続けましょう。
予備校で学習する範囲内で、実務のイメージを自分の中でふくらませると良いです。

あくまでも、試験合格のために必要なことは、試験のための勉強。
実務書などを参考にする学習は確かに為になりますが、そういった学習に時間を掛けても得点に直接結びつきません。

また、試験のための勉強であっても、たとえその学習が実務のことを意識していないものであっても、後から確実に実務に役に立ちます。
その点は心配せずに学習を進めましょう。

実務では実務の勉強をする、試験勉強では合格するための勉強をする、と割り切ったほうが○。

私の経験談

会計科目(簿記論・財務諸表論)

私が簿記論・財務諸表論を受験したときは、総務にいたときでした。
それでも日商簿記の勉強などで、会計の勉強には慣れていたので、違和感なく取り組めました。

正直、簿記・財表に関しては、「実務を知らなかったからといって不利となる」という印象は全くなし
答練中心の学習をしたことで、模試でも問題なく上位に食い込むことが出来ました。

消費税法

消費税法受験時の、消費税法に関する実務の経験は、仕訳に課税区分を入れる程度。
当時申告書を作る、といった経験はゼロ。

それでも、正直全く問題はありませんでした。
消費税法の論点は大体「どの課税区分に該当するのか」という点ですので、イメージはつきやすいです。

法人税法

このころは、経理である程度実務を積み、経理の大枠は掴んでいましたが、法人税の申告書を作成する経験はありませんでした。
それでも合格することは出来ましたので、法人税に関する実務経験はなくても問題ありません。
(税法上の仕訳を意識した仕事や、一部別表調整に関する資料の作成等はしていましたが、そこまで試験に影響を与えたようには思いません。)

しかし、法人税法に関しては、実務を知っていることのメリットは、より大きいと思います。
なぜなら、実務でも申告書の作成で日々悩み、どのようにすべきかということを考えますので、その経験があった上での学習をすることで、計算問題なども頭に入りやすいからです。
また、理論においても独特な角度から出題されますが、実務を知っていると自分なりに「どう処理するのが正しいか」ということを考える場面も出てきますので、問題が頭に入りやすいように思います。

国税徴収法

この科目は、そもそも実務とほとんど関連性もないため、全く問題はありませんでした。

所得税法

結局この科目は合格せずに終わってしまいましたが、それでも実務経験の有無が大きく影響を与えるような印象はありませんでした。

一般企業や公務員

税理士試験の良い点は、働きながらでも合格を目指せる、ということ。

どちらかというと働きやすい一般企業などから、「もっとやりがいが欲しい」「もっと成長したい」「独立できるような資格がほしい」と思い立った方。
いきなり仕事をやめて、試験勉強に専念したり、税理士法人などに転職しようという方もいるでしょう。

しかし、税理士試験は、働きながらでも十分に合格を目指せる資格です
いきなり「会社を辞める」といった大きなリスクを取るよりも、まずは働きながらノーリスクで会計科目から受けていく、という方法から始めていったほうが良いと思います。
試験の知識を持っていれば、すぐに実務もすぐに身についてきます。

下記の記事にもあるように、試験を合格していれば、実務未経験でもすぐに即戦力になれるでしょう。

「人生思い切りが必要」と思うかもしれませんが、いきなり大きなリスクを取るのも考えもの。
まずは「税理士試験の勉強が自分に合っているか?」ということを見極める上でも、環境を変えずに勉強を始める、という方法おすすめです。

まとめ

私のように、実務を知らずに受験すると、「実務を知らなければ不利なのでは?」ということがよく頭によぎります。
しかし、この記事を見て分かる通り、全く問題なし

非常に実務と関連性の強い試験であるにも関わらず、受験に際しては「実務経験の有無」にそこまでとらわれる必要はありません。

実務経験のない受験生の皆様も、自信を持って受験しましょう!