税理士試験で専念という選択肢はあり?なし?~専念のメリットのない科目って?~

「働きながら取得できる!」と言われている税理士試験。
それでも働きながらだとなかなか難しい側面もあります。

毎日忙しく働いて、さらに勉強をしなければならない生活を続けるなんて大変ですよね。

結局税理士試験で専念する、という選択肢はあり?なし?

また、専念してもあまり有利にならない科目もあるって本当?

専念は有りか無しか

私は、専念することには慎重になったほうが良いと思います。
そもそも、税理士試験は科目合格制の試験で、働きながらでも取りやすい、ということが良いところ。
そのため、税理士試験に関しては、リスクの大きい専念という選択肢をとらず、まずは働きながら受験をすることをおすすめします。

しかし、場合によっては一部の科目について専念をする、という選択肢も有りでは?とは思います。

税理士法人や会計事務所では、専念する方も一般的であり、転職の際もそこまでマイナス要素とはなりません。
要は資格が取れればOK。

税理士試験は科目ごとに難易度も大きく異なるため、専念をする前に、まずは受験戦略を考えましょう!

専念のリスク

私の周りにも、職場などで、何年か受験専念後に税理士を取得して活躍されている方も何人もいます。
それと同時に、税理士に限らず資格試験に専念し、うまく行かなかった方も何人もいます。
(私の周りで資格に専念をした方を見ると、うまく行かなかった方の割合のほうが大きいです。)

受験に専念することには相当のリスクもあります。
まずはそのリスクの重みについて見てみましょう。

①経済的なリスク

なんといっても、受験に専念をすることは経済的に厳しいです。
受験専念中は、収入はゼロ。

その中で、高い予備校代も払うこととなります。

そのため、専念をするにはまずは経済的に余裕があることが条件と言えます。

②キャリア的なリスク

専念をすることにはキャリア的なリスクがあります。
これから会計事務所や税理士法人へ就職するのであれば多少の専念期間があっても問題ないでしょう。
しかし、一般企業に転職しよう、という考えになった場合、専念している期間があると転職がしにくくなります

また、専念期間には社会人としての経験値が積めないことにもリスクがあります。

確かに、税法の合格は会計の実務経験以上に重要とも言える知識を得られる部分はあります。
そうはいっても、社会人としてただ働いているだけで、社会人としてのコミュニケーション能力のような経験値は自然についてくるもの。
受験専念期間は、そういった経験値を得ることができません。

③精神的なリスク

専念をすることは、ある意味働きながら勉強する以上に精神的にキツいです
上記の経済的な問題や、「経験が積めていない」という焦りもありますが、人と関わりが少ない生活になることによる精神的な影響もあります。
仕事をしていると、常に人と関わることとなりますので、自然に気持ちに張りがでます。
それに対し、勉強中心の生活となってしまうと、どんどん精神的にも内向きになってしまい、気力が失われやすいです。

その後に仕事をする気力すらなくなってしまうという結果になってしまうリスクもあるのです。

仕事をしていて全科目不合格だった場合と、専念をしていて全科目不合格だった場合では、精神的なダメージは全然違うでしょう。
専念をした上で不合格となってしまえば、「この1年間を無駄にしてしまった」という気持ちは相当大きくなるはず。

税理士試験も、「勉強時間を確保すれば確実に合格できる」といった甘い試験ではありません。
専念をするという決断は、そのリスクまで見越して行わなければならないと言えるでしょう。

専念して受けるべき科目は限られている

上記のようなリスクもありますが、専念をする場合のメリットも当然あります。

なお、せっかくリスクのある専念をしても、税理士試験の場合、ミニ税法のようなメリットの薄い科目もあるので更に要注意。

会計科目とミニ税法は働きながら取ろう

簿記論・財務諸表論

簿記論・財務諸表論は、一般的な資格である、日商簿記1級と同等、またはそれよりも多少簡単と言えるくらいのレベルの試験です。
そのため、あえて「専念」という選択肢を取らなくても、取得できるでしょう

確かに、勉強時間を長く確保できる専念生のほうが有利になります。
しかし、専念にはリスクもあります。

会計科目を専念すれば、税法科目(特に法人税法などのボリュームの大きい科目)を専念しない、ということにはならないでしょう。
そのため、専念期間は長期化します。

会計科目については働きながらとったほうが良い、と私は思います。

簿記論と財務諸表論については、税理士試験の登竜門と言える試験。
一度働きながら受験をし、そもそも「会計は自分に合わない」と感じる可能性だってあります。
「専念」というリスクを取る前に、一度働きながら受験をしてみましょう。
税理士試験は長期戦となりますので、5科目合格を目指すのであれば、会計科目から専念をするのはおすすめできません。
(専念で全科目合格を目指して相当順調にいったとしても、3年はかかると思います。)

ミニ税法

ミニ税法の大変なポイントは、試験範囲が限られている、ということ
試験範囲が膨大である試験であれば、確保できる勉強時間の多い専念生は、勤務受験生よりも有利。
しかし、ミニ税法の場合、一定量以上の勉強をしたとしても他の受験生と大きな差をつけることができません

そのため、いくら勉強をしても、「今年確実に受かる」ということが難しいのです
そのため、せっかくの専念をしてもメリットが薄い、と言えます。

専念のメリットが活かせる科目

法人税法・所得税法

これらの2科目は、そもそも働きながら1年で学習範囲を網羅することが厳しい科目です。
そのため、学習範囲を網羅しないまま本試験を迎える勤務受験生も多いです
そういった意味で、長い勉強時間を確保できる専念生はアドバンテージがあります。

特に所得税法に関しては、しっかりと理論暗記をしているかどうかが重要なポイントですので、勤務受験生と差をつけることができるでしょう。
しかし、専念しているからといって気を緩めていい試験ではありません。
本気の勤務受験生は、専念生に勝つために必死に努力します。
また、確保できる勉強時間が専念生より短いことを意識していますので、短い時間で集中して勉強します。

専念をして合格を目指す!と決めたのであれば、気合いを入れて専念をしましょう!

専念するならこういう受験戦略で行こう

まとめると、税理士試験で「専念」という選択をする場合は、下記のような戦略で行くべきと言えるでしょう。

会計科目は働きながら受験

上記でも解説している通り、会計科目から専念、という選択肢は基本的に「無し」です。
まずは働きながら受験し、会計2科目の合格を目指しましょう。

ただし、下記のような方であれば、はじめから専念という選択をしても良いかもしれません。

・2〜3年で一気に5科目合格できるという強い自信のある方
・経済的に余裕があるため、2年程度で3科目合格を目指し、その後大学院免除で税理士資格の取得を考えている方

私はそれでもまず、会計科目は働きながらの受験することをおすすめします。
専念という選択肢をとった後、順調に進むとは限らないからです。

その後、必須科目を1〜2年以内の専念

会計2科目の受験後、「ほぼ合格だろう」という状態になったのであれば、その時点で専念を考えましょう。
ここで「専念をしなくても行けそうだ」と思ったのであれば、専念をしなくてOK。
「必須科目を取るためには専念をしなくては無理そうだ」という状態であれば、必須科目の合格だけを考えた、短期間の専念を検討しましょう

合格したら働きながらミニ税法or大学院免除

必須科目を合格したら、また仕事をしながら受験を続けましょう。
法人税法などを合格した実力のある方であれば、ミニ税法も何度も受ければ確実に受かるハズ。

なお、「ミニ税法も専念」という選択は、上記でも解説したようにあまり有効ではありません。
ミニ税法の勉強をするにしても、専念期間が2年半を超えない程度にしたほうがよいと思います。

まとめ

税理士試験は、働きながら合格を目指せる、ということが良いところ。
基本的に専念しないと難しい、公認会計士や弁護士といった資格とは違います。

「だからこそ、専念をしたほうが有利」、と言える点も確かにありますが、「専念をしたからといって有利になるわけでもない」部分もあります。

専念にはリスクがあります。
「専念で行こう」、と検討されている方も、会計科目については、まずは働きながら受験してみてはいかがでしょうか