激務に耐え抜くことと難関試験を突破すること、どっちが難しい? 〜仕事と勉強の難しさの違いとは?〜

2020年11月8日

税理士試験などの難関試験。
非常に長い時間、勉強をすることが求められます。
そういった意味では、「仕事で激務に耐え抜くこと」と近いですよね?
どちらも長い時間、自分の時間を削って不安や疲れ、長時間の作業などに耐え抜くもの

さて、激務に耐え抜くことと難関試験を突破すること、どっちが難しい?

激務に耐え抜くことと難関試験を突破すること、どっちが難しい?

さて、激務に耐え抜くことと難関試験を突破すること、どっちが難しいのでしょうか?

この記事では、
①仕事と勉強の性質の違いと前提
②難しさの種類には違いがある、ということ、
③結局どちらが難しい?
という順で紹介をさせていただきます。

仕事と勉強の性質の違いと前提

激務に耐え抜くことと難関試験を突破すること、どちらが難しいのか?という点を考慮する際、重要となってくるのがその前提
仕事と勉強では性質が違うため、なかなか前提を揃えるのが難しいです。

まず、同じ時間(年間約1,200時間)、同じ条件という点を最重視すると、下記のようになるでしょう。

①激務(9時~6時が定時)
平日  毎日9時まで3時間残業
土曜日 9時から7時(10時間)まで勤務。

②資格試験(9時~6時が定時・試験は年1回)
平日  6時に退社後、7時~10時まで勉強
土日  土日合わせて10時間勉強

しかし、このような前提は、仕事については現実的ではありません。
実際には、

仕事 ⇨ 納期前等の繁忙期は終電まで仕事が毎日続き、閑散期はそこまで忙しくはない、というふうに波がある。
そしてそれは、基本的に自分ではコントロールできない。

勉強 ⇨ 繁忙期・閑散期というものはなく、自分でコントロール可能。
「試験前に本腰を入れる」というやり方も一般的ではあるが、計画的に前倒しに進めることも当然可能。

そのため、仕事時間・勉強時間が同程度ということを前提として、下記のようなものが現実的なものと言えるでしょう(年間約1,200時間)。

①激務(9時~6時が定時)
・繁忙期(年3回、7週連続下記のような状態・合計21週)
平日  毎日12時まで6時間残業
土日  9時から7時(10時間)まで勤務

・閑散期(上記以外の期間、29週)
平日  平均毎日7時まで1時間残業
土日  休み

②資格試験(9時~6時が定時・試験は年1回)
平日  6時に退社後、7時~10時まで勉強
土日  土日合わせて10時間勉強

さて、これらの生活を3年間送った後、同じもの、例えば税理士資格や、同じ額のお金、例えば3千万円が手に入る、と言われた場合、どちらの生活を選びますか?

上記では「同じものが手に入るとしたらどちらを選ぶ?」という書き方をさせていただきましたが、仕事と勉強、得られる対価も全然違うものです。
そしてそれは、それらを乗り越えるためのモチベーションの違いにもなるものであり、重要な要素と言えます。

難しさの種類に違いがある

上記の前提を見て直感的に判断し、どちらが良いと感じたでしょうか?
「そんなに勉強するなら激務に耐えたほうが良い」「自分は毎日終電なんてプレッシャーには耐えられないから勉強のが良い」
というふうに、意見は分かれると思います

なぜなら、両者の難しさのポイントには大きく違いがあるため。
その難しさの違いについて見ていきましょう。

①自主性の違い

仕事と社会人が行う勉強の圧倒的な違いの1つ目は、自主性の違いが挙げられます。

勉強 ⇨ 自主的・自発的に行うもの
仕事 ⇨ 指示・ルール等に従って行うもの

勉強

社会人の勉強は自主的・自発的に行うもの
裏を返せば、やる気・モチベーション、勉強計画を自己管理出来なければ、そもそも前に進むことが出来ません。
諦めよう、とか、今は休もう、と思ってしまえば、基本的にはすぐに逃げることが出来てしまいます

★勉強に必要な能力は自主性と計画性

仕事

基本的には期限等がもともと定められており、指示・ルール等に従っていれば進めることが可能です
そのため、自分でモチベーションを管理する必要性は薄いです。
(なお、自主的・自発的に考えて仕事を進めることができれば大きなアドバンテージになることは間違いありません。)

★仕事は基本的には「やらなくてはならないもの」、と心や体も認識している

②ストレス・不安要素の違い

仕事と勉強はストレス・不安となるポイントが一部異なります
なお、膨大な仕事や勉強によって、生じるストレスのポイントの大部分は共通しています。
自分の生活への制限が生まれることや、長時間の活動に対するストレスです。

それでは異なる点を見てみましょう。

勉強 ⇨ 合格できるかできないか、というプレッシャーからのストレス
仕事 ⇨ 人間関係や仕事のミスなどの多種多様なストレス

勉強

難関試験の勉強独特のストレスの要因の一つは、年1回程度の試験で合格できるかできないか?ということに対する不安感です
試験の合格は、一定の勉強量を確保すれば確実、というものではなく、不確実な要素が大きいです。

そのため、うまく自分でメリハリをつけないと、休みの日であれ「勉強をしなくては」、といった感情が起き、不安感やストレスと戦い続けることとなります

仕事

勉強のストレスよりも、仕事のストレスの要因は多種多様。
勉強にはない人間関係のストレスや、自分にはどうにもならない問題についてクレームを受けたり、仕事のミスを起こしてしまったりと、勉強と比較し、多様なストレスの要因があります

なお、勉強と比較し、仕事と休みの境界線がはっきりとしており、休みの日については比較的、開放的な気分になることができます
(休みの日にも職場から連絡がある場合もありますし、「月曜日から始まる仕事について考えると憂鬱」というパターンもありますが…)

③コントロール性の違い

時間的にコントロールできる幅について言うと、勉強のほうが仕事よりもコントロールしやすい、と言えるでしょう。

勉強 ⇨ 勉強する時間は自由
仕事 ⇨ 制約が非常に多い

勉強

勉強は、いくらでも前倒しで行うことが可能
教材が手に入らないといった物理的な問題は多少ありますが、計画は自由に立てられます。

そのため、膨大なタスクに対するプレッシャーに弱い方であっても、計画的に前倒しで進めることさえできれば、プレッシャーが生ずる状況自体を回避することが出来ます

なお、逆に自主的にコントロールすることができないと、試験直前に勉強が偏ってしまい、仕事以上にタスクが膨大な状況となってしまうリスクもあります。

仕事

仕事は、勉強と比べ、非常に制約は多いです
仕事の場合、前倒しにすることができることに限度もありますし、自分一人で行うものでもないため、チーム全体の進捗状況なども自分の仕事に影響を与えます。
そのため、計画性がある方であっても、仕事については平準化がしにくいのです。

対価・耐えるモチベーションの違い

①の「自主性」への補足的な部分になりますが、仕事と勉強は、耐えるモチベーションも全然違います。

勉強…将来のキャリアアップ等のため
仕事…給与のため

勉強
勉強のモチベーションとなる対価は、お金がすぐに手に入る、といったものではなく、さらに取得後のイメージについても実際に自分で体験しているものでないケースも多く、仕事に比べて不確実かつ曖昧なものです
そのため、勉強のモチベーションを上げるには、うまく想像力を働かせ、「自分が手に入れたいものである」ということを意識する必要があります。

仕事
仕事のモチベーションとなる対価は、基本的に給与でしょう(やりがいなども重要ではありますが)。
そして、資格試験と違い、給与は毎月もらえます。
お金は、生活のためには最低限必須なものですし、毎月得られるため、対価への実感は得やすいです

結局どちらが難しい?

上記を踏まえた上で、結局どちらが難しい?と感じるでしょうか?
資格に価値を感じない方は、「勉強」の対価も毎月の給与と置き換えて考えて見てください。

私の結論としては…

3年間、耐え抜くこと自体の苦しみといった点に着目すると

耐え抜くことの大変さだけに焦点を当て、勉強の場合の3年後の合格が保証されているのであれば、激務に耐えることのほうが難関試験の勉強よりも難しい、ということが結論です。

資格試験の合格は確かに難しいです。
しかし、その耐え抜くこと自体の大変さを比べたら、激務に耐えることのほうが難しいように思います。

難関試験の合格は確かに難しいですが、仕事の対価と同じように、毎月高い給与がもらえ、予備校などが計画をうまくコントロールしているといった状況であれば、「同程度の激務」と比べて易しいように思います

現実的なさまざまな要素を考えると

現実的には、下記の事実などを考慮すると、実際に難関試験を合格することは「勉強に耐えることそのものの難しさ」以外の部分から、非常に難しいものである、と言えます

・自主的に行うもの、かつ、毎月対価が得られるものでなく、現実的にはモチベーションの管理が非常に難しい
逃げるという選択肢が比較的に容易にとれる
・一定の時間があれば必ず合格する、というものではない

そのため、矛盾するようですが、「今、3年間、激務に耐えるか3年後の試験合格を目指すか」という選択肢が与えられたら、3年間の激務を選ぶように思います。
正直、今の私には資格試験を新たに受けるほどのモチベーションはありませんし、このモチベーションで合格をすることは非常に厳しいと思えるためです。

ただし、そういった現実的な点を考慮してしまうと、単純に難易度がどうか、という比べ方は難しいでしょう。
資格試験の難易度にも差はありますし、仕事の内容だってまちまちです。

結論としていえることは、仕事に耐え抜くことと、勉強に耐え抜くことは、一見似ているようでその性質には大きな差があり、求められる能力も大きく違う、ということです。

まとめ

難関試験を合格するために勉強することと、激務に耐え抜くこと自体の大変さを比べると、その「その苦行を耐え抜くことの厳しさ」だけに焦点を当てると激務に耐えるほうが難しいかもしれません。

しかし実際は、試験の合格は、ただ耐えるだけで手に入るものではありません。
(耐えること自体から逃げる、という選択肢も用意されています。)
そのため、「試験に合格できるか」、「激務に耐えられるか」、ということの総合的な難易度を比較すると、人それぞれの正確の違いや、能力の種類によっても大きく左右され、簡単には比較ができない、と言えるでしょう。