完璧主義者は税理士試験に合格できる? 〜完璧主義的思考は税法合格のための強い武器〜

「完璧主義者はストレスをためやすい」
「完璧主義では試験に合格できない」
近年ではそんな情報が多く流れています。
そんな情報から自信が奪われる方も多いのではないでしょうか?

「自分はつい、書類の字体とか、細かいところが気になって仕事が遅れるんだよな。」
そういったタイプの方はいわゆる完璧主義者です。
経理系の職についていると、そんな完璧主義タイプの方が意外と多いような印象もあります。
経理系の目指す難関試験として、働きながらでも合格が目指せると言われている税理士試験。

その税理士試験は完璧主義者でも合格できる?
実は完璧主義者にとって有利な科目があるって本当?

完璧主義者は税理士になれる?

実は税理士試験は、完璧主義と相性が良いと言える部分が多くあります。
税法科目について「完璧」的な部分を求められる要素も多々あり、特に「ミニ税法」については「完璧追求試験」とも言えるような内容であるためです。

しかし、必須科目である会計科目については、完璧主義タイプと相性は良くないと言えます。

この記事では、まず
①完璧主義の特徴
②一般的な試験で完璧主義者が向いていない理由
を見た上で、
③ミニ税法は完璧主義者に向いていること
④完璧主義者は税理士なれるか
を解説したいと思います。

完璧主義の特徴

さて、まずは簡単に完璧主義の特徴を見てみましょう。

完璧主義者は、あらゆるクオリティに対し完璧さを求めます。
それゆえ、下記のような特徴があります。

・ほどほどに継続することが苦手
・時間を掛けて緻密に完成形を求めることが得意
・ストレスをためやすい

①ほどほどに継続することが苦手

例えばブログ記事などは、良いものを追求すればキリがありません。
そのため、ブラッシュアップはいくらでも可能。

そのような性質のものを、毎週1記事アップ、というふうに進めようとしても、
・「もっと完璧な記事にしたいから…」といって、その週のうちに終わらせることができなかったり、
・「完璧なものを追求しよう」という気持ちが強く自分への負担が重くなってしまいます。
精神的な負担が大きいものは結局長続きしないため、ブログの更新も継続しなくなってしまいがち。

良い面を見れば、常にクオリティの高いものを求めるため、最終的なクオリティは高いものになるということです。

②時間を掛けて緻密に完成形を求めることが得意

完璧主義者は、時間を掛けてクオリティの高いものを作ることが得意です。
そのため、要領の良いタイプが作った8割の書類よりも、同じ程度の能力の完璧主義タイプが時間を掛けて作った書類のほうがクオリティは高いです。

完璧を求める緻密な作業は、完璧主義でないタイプにとってはキツい作業です。

緻密な完成形を作ることは誰もができることではありません。
なお、その分、仕事のスピードは遅くなる傾向にあり、「余計な部分の完璧さ」を求めしまう傾向もあります。

③ストレスを感じやすい

完璧主義者は下記のようにストレスの原因となることが非常に多いです。
・8割のクオリティでは満足できない
まず、常に完璧なものを求めてしまい、中途半端な出来だとストレスを感じてしまいます。

・予定通りに進行しないとストレス
予定通りに進行しないことは誰でもストレスですが、完璧を目指すタイプにとっては通常以上にストレスとなります。

・他人に対しても完璧を求めてしまう
完璧でないものにストレスを感じてしまうため、他人の完璧でないものについてもストレスを感じてしまいます。

そんなふうにストレスの要因となることが非常に多いです。

完璧主義者は求める必要のない完璧を求めています。
「そこを完璧にしても誰にも特にならない」ということはいくらでもありますし、少なくても他人に完璧を求めることは相手の負担になる場合も多いです。
自分には自分の完璧があり、他人には他人の完成形があります。

一般的な試験で完璧主義者が向いていない理由

下記で示すように、完璧主義者は税理士試験の通常の科目を含む、一般的な試験に向いていないと言えます。
試験を合格するために、通常「完璧」は求められていないためです。

税理士試験でも、特に簿記論や財務諸表論といった、世間一般的な試験に近い科目については、下記のような状態になってしまうでしょう。

①なかなか前に進むことができない

完璧主義者は、一つ一つの項目を完璧にすることを重視してしまい、なかなか前に進めず、合格のために必要となる肝心なことに取り組むことが遅くなりがちです。

例えば、簿記論などの会計科目で、試験に合格するために重要となる総合問題や答練への取り組み。
完璧主義者は、つい「個別問題を完璧にしてから総合問題に取り組もう」とか、「答練は完璧な状態にしてから受けよう」といったふうに、全てを完璧にしてから手を出そう、といった考えになりがち。
そんなふうに総合問題への取り組みが遅れてしまうと、後々にやることが溜まって、ついていくことが出来なくなります。

例えば簿記論では、早い段階で総合問題にどんどん取り組むのがベスト。
個別問題ベースで完璧でなくても、総合問題特有の試験パターンが体に染み付きます。
これは多くの一般的な試験でも同じです。
まずは相手をするために、過去問などに早めに取り組みましょう。

②重要な項目がおろそかになる

完璧主義者は、試験にほとんど出てこないような、出題の可能性の低い項目をも完璧にしたい、と思ってしまいがち。
その結果、試験合格に重要な頻出項目がおろそかとなってしまいます。

例えば財務諸表論なども、出題範囲が非常に広く、ほとんど出題されないような部分も多いです。
そんな中、完璧主義思考がでてくると、これらの項目についてもすべて覚えよう、と言ったふうにあまり覚えても意味のない部分を覚えようとしてしまったりするのです。

私も、財務諸表論について、「試験範囲をすべて網羅しよう」といった方向性で勉強を進めてしまったことで失敗した経験があります。
基本的に試験勉強において完璧を目指すことはNGなのです。

③完璧を目指すとストレスが大きい

試験勉強生活はもともとストレスの大きいものですが、完璧主義であると更にストレスが大きくなります。
なかなか完璧を目指しても完璧に出来ないのが現実です。
働きながらの勉強生活だと、自分の気の向くままに完璧を追求することができる時間もないでしょう。

そのストレスも、試験勉強を継続することを難しくする一因となるのです。

試験の合格に完璧は求められていない

試験に受かるために必要なことは、試験に求められているポイントを見抜き、そのレベルを超えていくこと。
そのため、細かい何かを完璧にするまで追求することは求められていません。

ミニ税法は完璧主義者に向いてる?

上記で解説したとおり、一般的な試験は完璧を追求することでマイナスになることが非常に多いです。
しかし、完璧主義者にとって向いている試験もごく一部存在します。
それは、完璧を目指すことが合格の鍵となる試験です。

例えば、税理士試験のミニ税法はそれに該当します。
ミニ税法の特徴は下記。

・深い部分を追求することに意味がある
・税法を一字一句に近い精度で暗記する必要がある
・計算問題もちょっとしたミスが許されない

ミニ税法は、試験範囲が狭く、上位約10%が合格する相対試験であり、多くの受験生が完璧に近い水準です。
そのため、「どれだけ完璧であるか」ということが合格のポイントとなってきます。

①深い部分を追求することに意味がある

細部にこだわってしまうことは、多くの試験にとっていいことではありません。
結局、得点に結びつくことがほとんどないためです。

しかし、税法については、気になる点を追求すれば、その税法に対する理解が深まり、その結果その他の項目についても理解が深まります。
そのため、完璧を追求しても横道にそれる心配が少ないのです。

②税法暗記は一字一句

ミニ税法では、一字一句レベルの税法暗記が求められます。
そのため、もともと求められるレベルがほぼ「完璧」。
そのため、完璧主義者でなかったとしても、結局完璧を目指さなくてはならないのです。

③計算問題のケアレスミスが許されない

ミニ税法の場合、ちょっとしたケアレスミスが命取り。
多くの受験生が完璧に近い水準であるため、合格・不合格を分けるポイントが、そういったケアレスミスがあるかないか、という部分になってくるためです。
そのため、計算問題の精度も完璧レベルに高めなければなりません。

一般的な試験であれば、一つの計算パターンに固執して何度も取り組み続けることは完全にNG。
しかし、ミニ税法であれば、そもそも計算パターンの数がそこまで多くなく、更にミスをしてはいけないため、全てのパターンを完璧にするつもりで取り組まなくてはならないのです。

まとめると、ミニ税法で求められるレベルが「完璧」であるがゆえに、完璧主義者に向いている試験である、ということです。

なお、ミニ税法であっても、あくまでも目指すべきことは、完璧ではなく合格をすること。
「完璧」という点に意識が先にいってしまうと方向性を間違えてしまうかもしれませんので、要注意。

完璧主義者は税理士になれる?

税理士資格を取るための一般的な方法は下記。
①5科目合格(会計2科目+税法3科目)
②3科目合格(会計2科目+税法1科目)で大学院免除

基本的に必須となる会計2科目については上記でも解説したとおり完璧主義タイプよりも要領の良いタイプのほうが断然有利な試験。
そのため、まず税理士試験に挑む上で、完璧主義的な考え方は捨てたほうが良いと言えます。
完璧主義的な考え方で進めていっても何とか試験を合格することはできるかもしれませんが、税理士試験は科目も多く、試験生活が非常に長くなることが予想されます。

そのため、税理士試験の合格を目指すのであれば、完璧主義をまず脱却することが必須でしょう。

しかし、概ね税法科目については緻密な要素が強く求められがちですので、完璧主義的な性格がプラスに働く部分も大きめな試験です。
また、税理士の仕事では、申告書の作成など、どちらかというと完璧を目指すべき仕事も多く、完璧主義タイプに合っている部分も多くあります。

完璧主義を貫いていては試験合格も難しいかと思いますが、完璧主義をうまく脱却できれば「完璧主義的思考」を武器に、試験合格を十分目指せるでしょう。

まとめ

税理士試験を合格するためには、一度完璧主義から脱却することは必須。
それでも、完璧主義的な性格がプラスに働く部分も多くあります。
「どんどん前に進もう」という気持ちの強い、推進力の強いタイプにとっては税法暗記のような緻密な作業は非常に苦痛。

完璧主義者はうまく完璧主義から脱却し、「完璧主義的思考」を武器として試験合格を目指しましょう!