
ここでは、会社の貸借対照表をメインに解説します!
クリックできる目次
貸借対照表とは何か
バランスシート略してB/Sとも。
会社の資産・負債・純資産の状況を表す財務諸表です。
…と、言われてもピンとこないかもしれませんが…
もう少し噛み砕いて言えば、会社の持っているお金や商品、土地・建物などの不動産の状況や、どれくらい借金をしているか、という状況を表すもの。
実際に見てみましょう。

上の例を見てもらうと…
「この会社は現金を3億円持ってるんだな」とか、
「借金も3億5千万円以上あるんだ」とか、なんとなくイメージつきますよね。
損益計算書(P/L)との違い
貸借対照表と必ずセットで出てくるのが「損益計算書」。
損益計算書は、会社などの業績を表すものなので、根本的に違います!
損益計算書には、費用・収益など、会社から出ていくお金や会社に入ってくるお金などが計上されています(実際の資金の流れとは異なる部分もありますが…)。
損益計算書はこれ↓

貸借対照表の重要性
貸借対照表は、会社の財政状態を知るために非常に重要です。
先ほども示したように、「どれくらいの資産があるの?」といった情報を得ることができるためです。
また、この貸借対照表から、「この会社はどれくらいの倒産リスクがあるの?」
「支払い能力はどれくらい?」といった情報も分析することができます。
(特に有名な比率は、流動比率・自己資本比率。
先ほどの損益も合わせてみることで、より高度な情報を得ることができます。)
しかし、何も知識のない状態で見てしまうと、ちょっと勘違いをしてしまう点もあるかもしれません…(土地・建物の金額や、換金性のないものが計上されていたり。)
それについては、下記で解説します!
貸借対照表の構成要素
貸借対照表は、下記のような構成になっています!

まず、大きいところから解説していきましょう。
資産の部、負債の部・純資産の部の概要
大きく分けると、この3つに分けられます。
負債の部・純資産の部について(資本の調達源泉)
左側の「資産の部」は、資本の運用形態、右側の負債の部・純資産の部は、資本の調達源泉
…分かりませんよね?
簡単なイメージですが…
例えば、パン屋を始めます!というとき。
まずは元手が必要ですよね。
機械を買ったり店舗を借りたりするので、500万円必要だ、ということに。
そのとき、自分のお金を200万円用意し、300万円借り入れたとします。

上記の図からも分かるかと思いますが、
・借入金などの他人資本が計上されるのが負債の部
・自分のお金(資本金)が計上されるのが、純資産の部
です。
資産の部(資本の運用形態)
上記のように調達したお金を、どのように使用(運用)しているのか、を示すのが、資産の部。
・200万円で機械を買いました!⇒有形固定資産へ
・50万円小麦粉などを買いました!⇒流動資産へ
・20万円店舗の敷金を払いました!⇒固定資産へ
・残っている現金⇒流動資産へ

(なお、店舗の家賃などの外に出ていく「費用」は、損益計算書に費用として計上されます。)
大体、こういったイメージです!
「個人の貸借対照表」も同じようなイメージですが、もっとシンプル。
単純に資産はお金などの資産、負債は住宅ローンなどの借入金、純資産はその差額、と考えておけばOK。
なお、個人の貸借対照表では、資産は全て時価計上。
資産の部について
資産の部は、大まかに下記のように分かれています。
大まかに、流動性の高い(すぐに資金化しやすい)ものから順番に並んでいるイメージです。
流動資産
流動性の高い資産です。
主に1年以内に回収される資産のイメージです。
大体、こんなものが計上されています。
・現金及び預金 ざっくりいうと、現金と預金
・短期貸付金 1年以内に回収される貸付金
・売掛金
商品(例えば車)を売りました⇒1か月後に入金します。
その1か月後入金する、という債権を、売掛金といいます。
・前払費用、未収収益など
決算が3月として、翌月(4月)分の家賃などを支払ったとしたら…
「前払費用」として「資産」に計上されます。
貸借対照表には、このような項目も出てきますので、要注意!
固定資産
有形固定資産
建物や土地、機械や車両などなど。
1年以上使用する、有形の資産です。
会社の貸借対照表では、土地や建物などの金額は、基本的に「取得に要した費用」となっています。
そのため、記載された金額で、すぐに金銭化できる、というものではありません。
土地100万円、となっていても、実際にすぐに売却した場合、50万円にしかならない、ということもあるということです。
なお、個人の貸借対照表は、「時価計上」です。
無形固定資産
ソフトウェア・特許権など、無形の固定資産。
投資その他の資産
長期貸付金などが、ここに計上されます!
有形固定資産・無形固定資産以外のもので、1年を超えて回収されるようなもの。
負債の部について
負債の部についても、資産の部と同じようなイメージ。
1年基準で流動負債・固定負債に分かれます。
流動負債
・買掛金
売掛金の逆バージョン。
商品を買ったけど、代金は翌月払いなので、まだ払ってないですよ、というような債務。
・短期借入金
1年以内に返すべき借入金の残高です。
・賞与引当金
翌期に払う賞与のうち、当期に対応する部分。
・前受収益・未払費用など
(前払費用などの資産と同じようなものですが、)決算が3月までとして、翌期4月分の家賃を先にもらったら、翌期の収益なので、「負債」に計上。
固定負債
・長期借入金
1年を超える期間に返すべき借入金の残高。
純資産の部について
資産と負債の差額が「純資産」です。
主にはじめに説明した、自分で用意した元手(資本金)部分のイメージです。
内容は、会社法や会計上の考え方などが入り混じって、ごちゃごちゃとして分かりにくいのですが、基本的には㊦のような感じ。

入ってくるお金などが多ければ、資産は当然増加しますよね!
そうしたら、純資産の部の利益剰余金が増加します。

(もちろん逆もあり得ます。その場合、利益剰余金はマイナス。)
評価・換算差額等
純資産の部には、資産・負債以外のものがすべて入ってきますので、資本金以外のものもあります。
よく出てくるのが、評価・換算差額等。
簡単に言うと、株式などの有価証券の値上がり・値下がり部分など。
債務超過とは
債務超過とは、負債が資産を上回っている状態。

こういう状態。
純資産の部はどこへ?? マイナスです!
所有しているすべての資産を売却しても債務を返済できないと状態です。
(会社の貸借対照表では、先ほどもちらっと説明とおり、固定資産などは取得価額で計上されています。
純資産がマイナスとなっていても、ひょっとしたら昔50万円で買った土地が今は200万円で売れるかも…というような一抹の希望はありますが…)
個人の場合
家を買ったので、住宅ローンがあります。

家の価値が極端に下がってしまったため…

家を売ったとしても借金を全部返すことはできません。
(地震保険などでローンが消滅してくれればいいですが、ローンだけ残ってしまった…なんてことも無きにしもあらず。)
いずれにせよ、財政状態は非常に悪い状態と言えます。
このような状態が債務超過。
上記のような状態はイメージしやすいかと思いますが、直ちにローンの返済ができなくなるわけでもありませんよね。
会社の場合、銀行などへ、返済期限までにお金を返済できない状態となれば、倒産は近いかも。
当面の財務状態などは流動比率や当座比率などを用いて分析しましょう。
流動比率では、1年以内に金銭化できる流動資産を分母、1年以内に返済すべき流動負債が分子となりますので、100%以下である場合には、さらに注意が必要です。
(さらに資産の内容によっても、状況は異なります。
実際の財務状態をもっと詳しく見たい場合には、さらに細かい分析が必要となります。)
まとめ
貸借対照表は、会社の財政状態を知るために、重要な情報が詰まっています!
その基本的な見方は、ぜひ覚えておきましょう!